IoTを分解すると、大きく以下の4つが考えられる。
- デバイスのセンシング
- センシングしたデータの収集
センサー・デバイスからデータを収集する。ケーブルの敷設や電源の確保が難しい環境に設置されたセンサー・デバイスから、データを収集するケースもあり、BLEやLPWAなどの無線通信が利用されることもある。 - クラウドへのアップロードを想定したネットワーク
収集したデータを、クラウドやサーバーに送信する。センサーから入手したデータは通信規格が様々であり、これをIPネットワークに送信出来るよう加工する。 - クラウドでのデータの解析、分析
センサーから入手した大量のデータをクラウド上で解析、分析し、生産性の向上など様々な用途に役立てる。
様々な物理現象をデータへと変換する。例えば加速度センサーや温度センサーなどが考えられるが、カメラやマイクなども物理現象をデータに変換するという意味では、センシングデバイスと言える。
ここで、特に重要なのが、3.クラウドへのアップデートを予定したネットワークの構築と言える。
ITのネットワークを例にするならば、LANからWANに繋ぐところであり、ルーターなどがその役割を担っている。
それでは、IoTにおいても、ルーターと同じような機能で良いかと言えばそうではない。
ここで登場するのがIoTゲートウェイだ。
IoTゲートウェイをルーターのようなもの、として選定せず、最適な機器を選定することがIoT導入において重要となる。
具体的な事例を見てみよう。
工場内の電力消費量最適化
IoTNEWSで過去に取材した、工場内の機械や設備の消費電力を見える化する、という取り組みになる。
参考: トーア紡、OTとITの技術をうまく融合し、電力消費量を最適化
当該事例を、上記のポイントで分解するとどうなるだろうか。
- 機械の消費電力を電力メーターでデータ化する。
- データをPLCに集約する。
- PLCに集約したデータをIoTゲートウェイがクラウドに送信する。
- クラウド上のアプリケーションにより、消費電力を見える化している。
当該事例では、工場が2ヶ所にあり、一方の工場ではPLCが導入されておらず、データの集約が出来ていない状態であった。
このため、同じ仕組みを導入するにはPLCが必要となるが、設置に大規模な工事が必要となり、コストと時間がかかってしまう。
このような課題に対して、一方の工場では、以下の手順でIoT化を実現している。
- 機械の消費電力を電力量モニタでデータ化する。
- データをIoTゲートウェイに集約する。(電子量モニタと通信するためのミドルウェアを、IoTゲートウェイにインストールしている)
- IoTゲートウェイがクラウドに送信する。
- クラウド上のアプリケーションにより、消費電力を見える化している。
つまり上述の1.ならびに2.のプロセスは環境により可変的となり、3.のIoTゲートウェイで上手く対応することができれば、IoT導入におけるコストやスケジュールを最適化することにつながる。
逆説的に、IoTゲートウェイの理解が薄いと、IoT導入のコスト増を招き、プロジェクトが破綻することもあり得る。
IoTがモノをインターネットに繋ぐ事とするならば、モノとインターネットを繋いでいるのがIoTゲートウェイであり、IoTを導入する上で重要と言えよう。
下記資料では、IoTゲートウェイ選定のポイントを纏めている。