NTTと富士通、低エネルギーで高効率な社会を目指し戦略的業務提携を発表

昨今、社会や産業のDX加速と共に、感染症予防のためソーシャルディスタンスの確保などを前提とした分散型社会にシフトしていくことが考えられる。それらを支えるICTシステム構築のため、通信のさらなる高速大容量化や、大幅な計算リソースの強化が求められる。

一方で、気候変動問題や格差の拡大などの社会課題の解決と、経済性を両立させた持続的な成長を目指さなければ、企業としても事業を継続できないという認識が世界中で広まっている。

そうした中、日本電信電話株式会社(以下、NTT)と、富士通株式会社は、「持続可能な未来型デジタル社会の実現」を目的とした戦略的業務提携に合意したことを発表した。この提携を通じて両社は、ネットワーク・情報処理基盤の構想である「IOWN構想」に賛同するパートナーと連携し、低エネルギーで高効率な新しいデジタル社会の実現を目指すとしている。

NTTはIOWN構想の実現に向けた研究開発・社会実装の推進、富士通は光通信・モバイルシステム・コンピューティングに関する技術開発、成果の社会実装を担う。そうした両社の、光技術をはじめとした通信技術や運用ノウハウとコンピューティング技術などを活用し、共同研究を進めていくという。

具体的な取り組み内容

光電融合製造技術の確立

ハードウェア製品を開発する、NTTエレクトロニクス株式会社は、半導体実装技術を有する富士通アドバンストテクノロジ株式会社(以下、FATEC)の66.6%の株式を富士通から6月1日に取得する。

FATECは、NTTエレクトロニクスクロステクノロジ株式会社として2021年6月1日より事業を開始する。

NTTエレクトロニクスクロステクノロジは、デジタルコヒーレント光通信用LSIおよびシリコンフォトニクス技術によるCOSA(Coherent Optical Sub Assembly)を一体化した、光電融合技術を用いた小型で省電力な、高性能光通信用コパッケージを2022年度内に提供開始する予定だ。

また、Beyond 5G時代向けに、高速・小型・低コストな光電融合デバイスおよび基地局に搭載するためのアーキテクチャーを両社で検討し、富士通の基地局をはじめとして幅広く提供することを目指すとしている。

通信技術(光通信およびモバイル)のオープン化の推進

今回の提携により、通信機器市場における特定ベンダに依存する垂直統合モデルからの脱却、ホワイトボックスや汎用ソフトウェアをマルチベンダで対応するオープン化の取り組みを加速させる。

光通信では、アーキテクチャーのオープン化を前提とした新たな光デバイスの企画から、システム製品の開発、サプライチェーンマネジメントまでを共同で行い、オープンアーキテクチャーの採用が活性化しているデータセンター向けの通信市場へ参入する。

また、モバイルでは、Beyond 5Gに向けたモバイルシステムのオープン化に向けて、両社での技術開発やオープン化活動ならびに開発成果の事業展開を検討していく。

まずは、NTTドコモを中心に発足した「5GオープンRANエコシステム」などを通じて、様々なパートナーとともに開発を行う。例えば、仮想化された無線基地局(vRAN)導入拡大の課題であるパフォーマンス向上の対策や、無線アクセスネットワークを最適化する制御技術の開発などだ。

そして、NTTは、それらの開発された技術を用い、5Gの本格展開に向け、モバイルネットワークの基盤を高度化していく。両社の連携によって開発された機器は、「5GオープンRANエコシステム」などを通じて、グローバルに通信事業者への展開を図っていく。

低消費電力型・高性能コンピューティング(ディスアグリゲーテッドコンピューティング基盤)実現に向けた共同研究開発

NTTが研究開発中の光電融合技術と、スーパーコンピュータ「富岳」などにも活用された富士通のコンピューティング技術を組み合わせ、コンピューティング技術の開発が行われる。

NTTでは、今回の提携を通じて培った知見・技術を活用した、スマートソリューションとICTプラットフォームを構築する。富士通では、IOWN構想や6G時代の技術開発を目的として、「IOWN/6Gプラットフォーム開発室」を2021年4月1日に新設し、研究開発を本格化させていく。

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