IDC、COVID-19により大都市圏以外の地域の企業は業績が悪化し2022年以降もIT支出は低い成長と予測

企業:

IDC Japan株式会社は、2021年3月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場地域別予測のアップデートを発表した。

これによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は継続しており、引き続き飲食/宿泊/運輸などのサービス業へ影響を及ぼしているが、サプライチェーンの混乱が収まり、製造業を中心とする国内の主要産業は回復している。また、感染防止を目的としたテレワークや各種サービスのオンライン化に伴うIT支出が拡大している。したがって、2021年の国内IT市場規模は、前年比2.7%の18兆3,772億円とプラス成長に回復と予測した。

また、地域別で見た場合でも2021年には、多くの地域でプラス成長に回復を予測している。特に「大都市圏」(東京都、関東地方(東京都を除く)、東海地方、近畿地方)において、大企業、中堅企業での業務効率化、企業変革を目的とした積極的なIT支出の拡大を見込んでいる。

一方で「その他地域」(北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方)では、消失したインバウンド/観光需要の影響によって地域経済の回復が遅れるため、IT支出も低い成長率に留まるとみている。

2021年から始まっているCOVID-19のワクチン接種による集団免疫獲得によってCOVID-19の影響が減少することで、2022年以降の国内は、これまで影響を大きく受けた飲食、観光、運輸サービスは徐々に業績が回復するとみている。しかしながら、これらの産業においてはCOVID-19によるダメージからの回復には時間がかかることから、IT支出の本格的な再開は2023年以降になると予測している。

地域別に見た場合、大都市圏では大手製造業中心に多くの企業で業績を回復する他、また、流通業、サービス業など含めた多数の大企業においてDXに向けた投資が本格化することから、IT支出はプラス成長を予測している。加えて、2025年に大阪・関西万博を開催する予定の近畿地方でIT支出は堅調な拡大を見込んでいる。

ただし、2021年に延期された東京2020オリンピック・パラリンピックは海外からの観客の受け入れがなくなったことから、同件による周辺地域の企業へのIT支出促進効果はかなり小さいとみている。

大都市圏以外の地域では、COVID-19の影響が長期化し多くの企業で業績回復が遅れている。特に、これまでインバウンド、観光需要で好調であった地域では経済は低迷しており、多くの企業で業績は悪化したままとなっている。

ただし、大手製造業の生産拠点では操業が再開されており、生産拠点が設置されている地域では周辺企業の業績も改善傾向がみられる。なお、これらの地域では経営体力が乏しい企業が多いため、業績の回復が遅れ、2022年以降もIT支出は低い成長を予測している。

このように2021年以降の大都市圏とそれ以外の地域ではIT支出に大きな差異が生じると予測しているが、その要因として地域経済の回復状況に加えて、地域の企業のDXの推進状況も大きいとみている。

IDC Japan ITスペンディンググループのリサーチマネージャーである市村仁氏は「ITサプライヤーは、大都市圏以外の地域の企業に対してDXを支援することがIT支出拡大の鍵となる。特にCOVID-19を契機として抜本的な業務見直しを模索する企業も地域を問わず増えていることから、これらの企業を積極的に支援し、業務効率化に加えてDXの推進支援を行う体制を早期に整備することが求められる」と分析している。

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録