IDC、COVID-19により大都市圏以外の地域では2022年のIT支出がほぼ横ばいに留まると予測

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IDC Japan株式会社は、2021年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場地域別予測を発表した。

2020年初頭から感染拡大しているCOVID-19によって2021年も小売、運輸、サービスなどの企業で依然として深刻な影響を受けているが、消費者におけるスマートフォンの買い替え需要などに伴って、2021年の国内IT市場規模は、前年比4.2%増の19兆234億円とみている。

地域別で見た場合、各地域のIT市場は2021年において各地域でプラス成長に回復したとみている。特に「大都市圏」(東京都、関東地方(東京都を除く)、東海地方、近畿地方)では、大企業、中堅企業における業務効率化、企業変革を目的とした積極的なIT支出の拡大を見込んでいる。

ただし、各地域共に2021年のIT支出がプラス成長となった主な要因は消費者におけるスマートフォンの買い替え需要拡大によるものであり、「その他地域」(北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方)では、全体ではプラス成長ながら地域経済の回復が遅れているため、消費者を除いたIT支出では低い成長率に留まっている。特に北海道/東北地方では需要を牽引するその他の産業分野が不在のため、2021年も消費者を除いた場合マイナス成長とみている。

2022年の国内IT市場は、消費者におけるスマートフォン需要の反動によって各地域で成長率は減速するものの、前年比2.3%増の19兆4,548億円と予測している。国内の多くの産業分野の企業で業績は改善し、特に大企業ではDX推進のためのIT支出を本格化が見込まれる。

また、COVID-19のワクチン接種による集団免疫の獲得によってCOVID-19の影響が低下することから、これまで影響を大きく受けた小売、運輸、および外食、観光、宿泊などのサービスではIT支出は緩やかながら回復を見込んでいる。

地域別では、大都市圏を中心に多くの企業で業績を回復し、DXに向けた投資が本格化することから、大都市圏の各地域では、2022年のIT支出はプラス成長を予測している。2023年以降も大都市圏を中心に堅調なIT支出を見込み、特に2025年に大阪・関西万博を開催する予定の近畿地方でIT支出は拡大を予測している。

一方で、大都市圏以外の地域では各地域でCOVID-19の影響が長期化し、多くの企業で業績が低迷している。したがって、2022年のIT支出はほぼ横ばいに留まるとIDCはみている。2023年以降、業績が改善する企業が徐々に増加し、IT支出も改善傾向を見込んでいるものの、人口減少によって地域経済の停滞が長期化することから、多くの企業においてIT支出は抑制傾向が継続するとみている。

ただし、これら地域でも地方自治体における「デジタル・ガバメント」施策が期待されている。あわせて九州/沖縄地方での福岡市周辺における積極的な投資が牽引している他、今後は北海道/東北地方において札幌市、仙台市での再開発事業が契機となり、これら地域ではIT支出の活性化が見込まれる。

このように大都市圏では堅調な拡大を見込んでいるが、大都市圏以外の地域では、多くの企業でIT支出は抑制傾向が継続するため低い成長率に留まるとみている。この要因として人口減少、需要を牽引する産業分野の不在といった地域経済の状況に加えて、企業において第3のプラットフォーム、イノベーションアクセラレータの導入に消極的なままで、かつDXの取り組みも進んでいないことが挙げられる。

IDC Japan ITスペンディングのリサーチマネージャーである市村仁氏は「ITサプライヤーにとって、大都市圏以外の地域の企業に対して、デジタルを活用した事業構造の変革としてのDXを支援することがIT支出拡大の鍵になる。現在地方自治体における『デジタル・ガバメント』施策、各地域での再開発事業などを契機として、地場の企業に対してDXの推進支援を積極的に誘導する体制を早期に整備することが求められる」と分析している。

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