AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

グローバルキャリアにおけるIoT Platform展開と、工場のすべてを「見える化」することの功罪 -NTTコミュニケーションズ インタビュー

IoT Platformのコア

 
-IoTサービスのどのレイヤーまで自社サービスとして持っておこうとされているのでしょうか。

金丸: 今コアになっているところは、グローバルのリーチャビリティを持っているネットワークとクラウドのレイヤーです。ここをコアにしながら、データの蓄積、可視化、システム間連携といった機能群の提供、PaaSの領域までレディメイド型のサービスとしてやっていきたいと考えています。

業界別に高い専門性が求められるところはパートナー企業とのエコシステムで全体を作っていくという構想ですね。

 
-私は御社のクラウドを使ったことがないのですが、アプリケーションは乗せやすいものなのでしょうか?開発基盤がどこかで決まってしまっていると、乗せ換えづらいということはありますか?

金丸: そういった不安を払しょくするために、当社のR&D部門である技術開発部でグローバルIoTテストベッドという環境を作っていて、事前にアプリケーションを動かしていただくことができます。

 
-グローバルIoTテストベッドの現在の利用社数はどのくらいでしょうか。

境野: 20社ほどです。ハードウェア、ソフトウェアのベンダーさんもいらっしゃり、それらの製品を組み合わせて動かす形で参加いただいています。誰もがいつでも自由に使えるような形ではなく、われわれ技術開発部と合意をして、ともに実験に参加することが決まった企業にご利用いいただいています。

NTTコミュニケーションズのサービス提供の範囲としては、ネットワーク、クラウドの基盤を提供するほかに、セキュリティのサービスやマネージドサービス、お客さまのICTの資産をお預かりし、管理するようなサービスを組み合わせていきたいなと思います。そこが通信キャリアとしての特性を生かせるところかなと考えています。

金丸: 先ほど申し上げたお客さまから求められた時にサービスとして素早くご提供できるというところは、ある程度コアなユースケースを定めているのですが、個社毎にソリューション提供していくという観点だと上位のアプリケーションやマネージドサービス、AIを含めてEnd to Endのご提案をさせていただきます。そこはIoTソリューションの専門部隊を組織しています。

グローバルキャリアのIoT Platform展開と、企業の競争領域を残すIoT 戦略-NTT Comインタビュー
NTTコミュニケーションズ株式会社 経営企画部 IoT推進室 担当課長 金丸一誠氏

 
-専門部隊というのはSI部隊でしょうか?

金丸: そうですね。IoT専門のコンサルティング部隊がおり、お客さまに最適なIoTソリューションを設計します。

 
-デバイス周りのサポートはしていますか。

金丸: 今申し上げたようなソリューションカットで、お客さまの要望に応じて一社一社設計させていただいているパターンがあります。それ以外にも、ニーズが高いものを順次サービス仕立てにしてご提供しています。

 
-クルマメーカーとは何か取り組みされているのでしょうか。

金丸: 自動車関連のアプローチとしては、テレマティクスのサービスをやっています。車を作る部分というよりは、今すでに顕在化しているニーズに対応しています。例えば「社用車がたくさんあるけれどルールが管理できてない、車の管理ができてない」という問題意識をお持ちのお客さまです。

そういった課題に対してソリューションを求められているので、車両を管理するIoTによる仕組み化に注力しています。

 
-通信は、SIMベース、セルラーベース、有線ベース、どれがよく使われるのでしょうか。

金丸: SIMベースです。例えば出荷された製品のモニタリングを行う場合、製品自体がどこに行くか分からない時に有線ベースでは考えにくいというのと、われわれの場合クローズド網のモバイルネットワークがご提供できるので、製品からアウトプットされるセンサーデータ自体もセキュアに管理でき、強みが発揮しやすいということがあります。

 
-そういう意味では、もっとコアなネットワークの技術で御社は強いところが多いと思うのですが、どういう技術をIoTに活用していこうとされていますか。

グローバルキャリアのIoT Platform展開と、企業の競争領域を残すIoT 戦略-NTT Comインタビュー
NTTコミュニケーションズ株式会社 技術開発部担当部長 野村研仁氏

野村氏(以下、野村): IoTでは、必要な時だけネットワークをつなぎたい、今だけ大量にデータを送りたいので帯域を広げたい、あるいは、状況に応じてデータの送り先を変えたいなどのコントロールをお客さま自身が実施したくなると考えています。

ネットワークもエッジもクラウドもソフトウェアでコントロールしながら、SDx(Software –Defined anything)やNFVなどの様々な機能を活用するというやり方は、IoTと非常に親和性が高いと考えています。

 
-ネットワークのルーティングも恐ろしく細かくなってくのでしょうね、これから先は。

野村: そうですね。

 
-何万、何十万とかつながっているものを、人が管理画面を見ながら一つ一つ操作することはないですよね。

野村: それはないと思います。そういう意味では、いわゆるゼロタッチでインストールができるとか、IoTのセンサーデバイスをつないで、そこから得られるデータをすぐに使えるようにするといったことは重要だと考えています。今では様々な会社がIoTのプラットフォームサービスを出していますが、IoTのセンサーデバイスをつないで、そのデータが使えるようになるまでは結構大変だという声を聞きます。

それが、つないだ瞬間に「データが使えるようになっている」という状態に持っていきたいなと思っています。

つないだ後、本格的な運用に入ってからも運用管理を楽にできるというところは通信キャリアがもともと強みを持っていますので、そこの強みは活かしていきたいと思います。

 
-SIMだと割とコントロールしやすいですよね。閉域網も作りやすいですし。

野村: さらにSDxで、様々なアクセス網に対してオーバーレイでエンドエンドのネットワークをコントロールできるようになります。まさにSIMでのコントロールでイメージされているようなものが、様々なネットワークに対してもできるようになるイメージです。APIから叩いてユーザーがネットワークをコントロールすることができます。

 
-通信会社は基本的には帯域に対してお金を払いますよね。それほど使わないのに、帯域に対してお金を払うというのは結構もったいないという考えもあります。例えば、1日に1発飛ばすか飛ばさないかというと、帯域利用としては、2回線ほどの電気量しか使えません、というサービスはあり得るかなと。

野村: 回線という言い方をするのかどうかは分かりませんが、そういうのはあり得るでしょうね。

 
-御社はどのような課金方法なのでしょうか。

金丸: サービスとしては帯域に応じた月額料金を設定しています。あらかじめ決まっていた方が分かりやすいお客さまも多いと思います。ただ、モバイル回線卸といったビジネスでは帯域ごとお客さまに渡すようになりますので、それもIoTの仕組みに入れていくことは将来的には考えていきたいですね。

 
-今はまだ帯域卸はやっていないけれど、個別案件ではあり得るということでしょうか。

金丸: IoTのサービスとしてはまだこれからになります。個別案件はあり得ますね。

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