シリコンバレー発、Google, Twitterで培った技術力で差別化するIoTプラットフォーム -MODE CEO 上田氏インタビュー

 
-ところで、このゲートウェイですが、プロトコルが何に対応しているのかとか、温度帯がどれくらいの範囲に入っているのかなどについて教えて下さい。

上田: 車載用の方はインダストリアル仕様でですので、60℃ぐらいの場所でも使用できます。オフィスなどの通常の環境では廉価な据え置き型ゲートウェイをご利用いただけます。その2つのバージョンを用意しています。

 
-外置きものを提供したり、ルータ側のソフトウェアだけを切り売りしたりするようなことは考えられてないのですか?クラウドはもうあって、この中に入っているソフトウェアを、例えばどこかの別の会社のルータに内蔵してもらうというような考え方です。

上田: それは、もちろんオープンにやろうと考えています。Linuxベースのゲートウェイであれば、ほぼどんなものでも対応できます。「とにかく簡単に早く、買ってきて5分でつないで動く」を目指しています。

 
-「手軽にPoCを始めたい」という企業は多いのですが、結果が良く本番に移行する時に、費用が過剰にかかると対応に二の足を踏んでしまいます。御社の場合だと、Linuxベースになっているルータであれば、御社のソフトウェアはルータにのせることができるので、今のテスト環境と同じことは実現できる、ということですよね?

上田: そうですね。結局、ハードウェアのコストを抑えるのか、ソフトウェアのカスタマイズのコストを抑えるかなので、ハードウェアのコストを下げるのであれば、ソフトウェアの開発費を少し頂いて、移設してあげれば良いのです。

弊社は弊社のゲートウェイを売って、川上から川下までお客様を囲い込みたいというわけではなくて、川上から川下まで用意されていないと(実務上)手間がかかるので、とりあえず、何でもよければこれをどうぞ、という形で用意しているだけです。

 
-そこを明確に言い切る人は少ないと思います。なぜかというと、物事って案外構造的にならないし、誰でも本当はバーティカルにやりたいわけですから。

上田: バーティカルにやるのが一番簡単です(笑)。現在の弊社のゲートウェイはかなり高スペックですが、もともとはRaspberry PiやIntel Edisonでやっていたので、そういった安価なプラットフォームにバックポートすることも容易です。

ゲートウェイソフトウェアはGo言語で作っているので、ポーティングはやりやすく、サイズもとてもコンパクトなので、相当低スペックな機器でも動かせると思います。結構無茶な注文をいただいたりもしてますが(笑)、気合でがんばっています。実際、おっしゃる通り「ゲートウェイにこのハードウェア使えませんか?」というご相談が多いです。

 
―クラウド側より、ルータ側の注文が来るわけですね。IoTプラットフォームがうまくいかない理由は、クラウド側ばかり一生懸命作るからだと思っています。

上田: 弊社もゲートウェイをやるという決断をするまでは、星の数ほどあるIoTプラットフォームの1つでした。「他とどう違うの?」と言われて違いを説明しても、反応がいまいちでした。

いろいろ考えた結果、私達はソフトウェアの専門家だという線引きはやめて、「お客さんが必要とするものなら何でもやります」としました。ハードウェアも売るというところまでやった瞬間に、道が開けました。おかげさまで多くの引き合いが来ています。

MODE CEOインタビュー
左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右手前:MODE, Inc. 日本カントリーマネージャー上野聡志氏/右奥:MODE, Inc. Co-Founder兼CEO 上田学氏

 
-クラウド側は、Googleクラウドにのっているのでしょうか?

上田: 今はAWSと、ニフティクラウドにのっていて、GCPにも載せる予定です。クラウド事業者にロックインされないようかなり注意して作っていますので、どこでも大丈夫です。

 
-クラウドのスケールアウトなどは、クラウド会社によってそれぞれ違いますよね。

上田: もともとGoogleやTwitterで働いていた頃今のような便利な機能はなかったので、あまり環境に依存せず、スケールする仕組みも自分たちで作っています。

 
-何気に難しいことをクラウド側がやっているのですね。私は、本当に何億台がつながる日が来たときに、対応できるのかな?と思っています。

上田: 実際、「クラウドサービス」と言っているのに、実はサーバ1台で動いているソフトウェアってすごく多いですよね。

IoTプラットフォームなんかでもそうなのですが、「オンプレミスでいきますとか、お客さんごとにインスタンスを上げています」という話を聞くと、これはつまりサーバ1台で動く、つまりスケールしづらいやり方だと思います。この系統のシステムだと、将来規模が大きくなると速いサーバを買うしかない、デカいデータベースインスタンスを作るしかないということになります。

一方で、「クラウドコンピューティング」というのは、データセンターのどこで、どのコンピュータを使っているかは、よく分からないけど、よろしくやってくれる、というのが本来のクラウドです。私は、クラウドという言葉ができる前からGoogleでそういうシステムの開発をやっていたので、負荷が増えたらサーバを増やせばスケールするというシステムの作り方が染みついているのです。

それで、弊社のシステムは全部分散システムになっています。そこで、キャパシティが増えればマシンを増やせばいいし、どのマシンが落ちたとしても、基本的にはアメーバみたいに自己再生しながら動き続けます。

なので、2年くらい前にサービスをリリースしたのですが、そこからまだ1回も止まっていません。データベースは何度か落ちているのですが、その間もシステム全体としてはそれをカバーしながら動いています。

 

次ページ:自動車のクラウドサービス

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録