みどりクラウド

セラクの農業IoTサービス「みどりクラウド」、露地栽培・大規模施設でも利用可能な高機能モデルを販売開始

セラクの農業IoTサービス「みどりクラウド」、露地栽培・大規模施設でも利用可能な高機能モデルを販売開始

株式会社セラクは、農業IoTサービス「みどりクラウド」のデータ収集端末である「みどりボックス」において、新たに露地栽培や大規模施設にて利用可能となる高機能版「みどりボックスPRO」の販売を開始した。基本構成の価格は128 … Read more

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

センサーで情報を取得してモニタリングするだけではIoTとは言えない、というのはもっともだが、農業の現場ではそれだけで十分大きな役割を果たすこともある。

モニタリングすることで数千万円の被害を防ぐことができるのであれば、農家にとって今後IoTは必要不可欠になるのではないだろうか。

今回、温室内環境遠隔モニタリングシステム「みどりクラウド」を開発した、株式会社セラクみどりクラウド事業部 担当責任者に話を伺った。

 
-御社について教えてください。

私たちセラクは、今期で30期目 を迎えるいわゆるSIerになります。東証マザーズに上場していまして、現在約1,100名の社員がおり、ほとんどが技術者です。これまではお客様のシステムを作ったり、WEBサイトの構築だったり、インフラの構築というのをやってきたのですけど、培ってきた技術を新しい分野で活かしていきたいと考え、IoTに関しての取り組みを2011年から初めています。

最初にスマート洗面台というのを作り、洗面台にAndroidを組み込んでインターネットつなげました。鏡の中にいろんな情報が出てくるので、自分の顔を見ながらニュースチェックや、体重を計ったり、カメラで写真を撮ったり、天気予報を出したり、そういう機能を持っていました。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
スマート洗面台

 
-2011年は導入のタイミングが早いですね。

当時は、まだInternet of Things という言葉自体がそんなに世の中には出ていませんでした。われわれもIoTをやろうと思ってそれをやっていたわけではなくて、私たちが持っているAndroidの技術を、なにかスマートフォン以外の用途で使えるんじゃないかという事で、取り組みをしたのがきっかけでした。

 
-製造はどうされたのでしょうか。

実際は試作品として1台作ったのみなのですけど、ハードウェアの筐体部分はかなりお金をかけて工芸家さんに頼みました。鏡自体も1mくらいあるので、都内では加工はできないという事で、工芸家さん経由で筑波の方に持って行ってもらって、筑波でカッティングして。金属加工に関しては、金属加工の工芸家さんが高尾の方にいらっしゃるという事で、そちらでやっていただきました。

発表した時は多くのメディアに取り上げて頂きまして、トレたまや、海外のウォール・ストリート・ジャーナルにも載せて頂きました。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
左:株式会社セラクみどりクラウド事業部 担当責任者/右:IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-結構みんな思いつくのですが、なかなか製品化まではいきません。鏡の裏側にディズプレーにするのは結構面倒くさかったり、Android入れとくのはいいけど、通信モジュールどうするんだとか。通信モジュール入れるとえらく高くなっちゃうので。そこどうしようみたいな事で、開発したいと思うものの製品化しようと思ったら、今はまだ安くなってる方だと思いますけど、それでもコンシューマーの手に届くような金額じゃ作れないので、気軽ではないですよね。

うちが作った時もやはりかなりコストがかかったので、これでは個人ユーザー向けは無理だなと思いましたが、例えば商業施設などはすごくマッチしそうだなとは思っていたのです。それは商品化しようというよりは、今で言うIoTの可能性のというのをちょっと探ってみようと言う取り組みでやって、試作開発をしました。

その次に作ったのが、スマート野菜工場です。私は農学部出身で、役員にも農業が抱える問題に強く関心を持っていたメンバーがいますので、ちょっと洗面台とは違う切り口でやってみようという事で、小さい植物工場を作りました。

その植物工場の環境制御や、環境のモニタリングにはAndroid使いました。単純に制御とかモニタリングだけだと面白くないので、今度は透明の液晶パネルを使って、中の様子を見ながらそこをタッチパネルで操作をして、環境を制御できるというものを作りました。

 
-サイズ的にはどれくらいのサイズなのですか?

電子レンジよりちょっと大きいくらい。オーブンくらいの大きさですかね。だからそれで農業生産をするというよりも、例えば店舗に置いていただいて、そこで育てた野菜で料理を出してもらうイメージです。

そういう取り組みをしていた中で、無謀にも農業向けの展示会に出しまして(笑)。見た目はすごく未来っぽいのでウケるかなと思ったら、その未来っぽいところはどうでもよくて、モニタリングというところに皆さんすごく関心を持っていただきました。

スマホでチェックできるというのはすごくいいというお話を、何件かの農家さんから頂きまして、これはひょっとしたらニーズがあるのではないかという事で作ったのが、今のみどりクラウドというサービスです。

また、社内に組み込み技術を持っている部門があったり、通信インフラに強い部門があったりという環境があったことや、「農業IT」というテーマが市場性や成長性といった面で実はとても大きな可能性を持っているということも事業化の後押しとなりました。
あと、当社は、以前からITをつかって地方が抱える問題を解決するということを一つの目標にかかげていろいろ取組みをしてきたんですが、みどりクラウドで農業が元気になれば地方の活性化につながっていくという点でも会社にマッチしていたんだと思います。

 
-なるほど、そういうステップがあったのですね。どういうサービスなのかというのを教えてもらえますか?

 

みどりクラウドとは

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

みどりクラウドはセンサーボックスで、これをハウスの中に置いていただくと、ハウスの中の環境を2分おきに計測し、そのデータをクラウドに上げます。クラウドに上がったデータを各種いろんなデバイスで確認をしていただいて、その環境を離れたところで確認ができるという事と、リアルタイムで計測をしていますので、異常があった場合それを検知して、ユーザーさんにお知らせをするという機能であります。

 
-異常とはどういうことが起きるのでしょうか。

例えば夏に窓を閉めきっているとすぐ40度50度になります。40度50度になると植物は死んでしまいます。冬場は逆にほっとくとどんどん温度下がっていって0度近くになるのですけど、それでもダメになってしまいます。

ハウスは、冬場はボイラーをたいています。ボイラーが自動でオンオフをして温度調整をするような装置がはいっているところもあるのですけど、例えば重油が切れていたとか、コンセントが抜けていたとかという事でそれが上手く働かなくて、低温になって植物をダメにしてしまうというケースが結構あるのです。そういう異常を検知してお知らせをすることができます。

実際、みどりクラウドを導入された方で、そういうケースも何件か出てるのですけど、これまでにうかがった中で最も金額が大きかったのは3千万円の損失が防げたという事でした。

そこは、完全に自動で環境制御をする先端的なのハウスだったのですけど、去年の12月の深夜に、おそらく一気にボイラーのスイッチが入ったのでしょうね、ブレーカーが落ちました。たまたま農業用の高電圧の系統と、みどりクラウドで使っている100ボルトの系統が違う系統だったので、200ボルトの方だけ落ちて、みどりクラウドずっと生きていて監視をしてて、アラートがバンバン飛んできたということでした。

 
-電源系統を分ける事も、実は重要だったりするわけですね。

結構重要かもしれないですね。ただ、電源の系統が分かれてなくても、みどりクラウドが死んでいる状態の時っていうのは、警報もきますので、それがもしひとつの系統だったとしても検知することは可能です。

 
-みどりクラウド自体のセンシングというのは、どういうものをセンシングしているのでしょうか。

みどりクラウドはセンサーで気温、湿度、培地温度(植物が植わってるところの温度)、土壌水分、日射量、CO2濃度の計測をおこなっていて、さらに、カメラをつかって写真を撮っています。

センサーで直接得られるデータをもとに、計算で出しているのが飽差という指標です。農業で専門的に使われている指標なのですが、この空気中にあとどのくらい水が入るのかという事を示しており、光合成速度に密接に関連をしています。その飽差と日照時間、それから積算温度を自動で算出をして表示をしています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

 
-グラフになったりするということだと思いますが、ハウス以外では使われるシーンというのはありますか?

もともとわれわれはハウスでの利用というのを想定していたのですけど、露地栽培での利用というのも増えてきました。ブドウやサクランボ、最近だと水田でも使われているケースも出てきています。

 
-それは路中の温度などを見たいという用途なのでしょうか?

そうですね。伺ってみると、例えばブドウはすごくセンシティブな作物なので、その環境を確認するために導入されたそうです。また、水田で利用されている方は、どういう環境でどういうふうに育てられていたかという記録を取って、それを消費者に伝えるために導入したということでした。

 
-トレーサビリティですね?

そうです。消費者に安心して食べていただくという事で、プランディングの一環でやっているという事です。

 
-アグリIoTだとその時に採れた作物の量とかを見たり、そのセンシングした状態で例えば種を植えるところから収穫するまでの間を見て、その時の天候どうだったなど、取れ高に対して次にも活かすみたいな事やっている人たちもいると思うのですけど、そういった事はやられるのですか?

まさに8月9日にリリースした機能で、作業記録、圃場の記録を付ける事ができるようになりました。そこでどういう作業をいつやって、どういう資材、資材というのは農薬や肥料を使って、虫が出たとか病気が出たとかですね。あとは収量がどのくらい採れたかという記録も付けていくことができるようになりました。

私たちは先に環境モニタリングをやって、その作業記録を追加機能的に実装したのですけど、それは農家さんがITを農業に使いたいと思った時に、何かをスマホを使って入力をするって、結構ハードル高いなと思っていたんです。それでまずは何もしなくてもいいところからスタートしたいなという事で、モニタリングからわれわれは始めたというところですね。

そういうところで、ITは少し農業に役に立ちそうだなという事気づいて頂ければ、おそらく記録を付けるモチベーションにもなりますし、そういうデータ入っていくと、今度はさらに先ほどおっしゃったような例えば市場予測とか、病気の予測とかというところにサービスの範囲を広げていく事ができるかなということですね。

 
-予測的なものも今後入っていく予定はあるという事ですね?そうするとちょっとした人工知能や機械学習などが入っていくイメージでしょうか。

はい、そうですね。農業への人工知能や機械学習の応用には大きな可能性があると考えています。特に、収量の予測や市場価格の予測に応用できるのではないかと期待しています。

 
-そこも自社で作られるのですか?

そうですね。現在、研究に着手しているところです。みどりクラウドはMicrosoftさんのAzureを使っていますが、そこで提供されている機械学習のPaaSを使っていこうかなと思っています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セ
IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-あと最近アグリ系で言われていることだと、ひとつの農地があったとして、温度センサーを挿してる場所によって温度が違って、どれを採用するかわからなくなるそうです。

そこに対して、どの場所の数字を信じたらいいのか分からない、という話が出てると思うのですけど、その辺は御社の場合はどのようにされているのですか?

まずわれわれのみどりクラウドの考え方としては、一般的にはハウス1棟に対して1台あれば十分だと考えているのです。確かにハウスの中の環境にはいろいろ偏りがありますけれども、ハウスを管理する時というのは多くの場合は全体管理で、全体を開けるか閉めるかとか、全体にCO2まくかまかないかとうい管理の仕方になります。

そういう意味で言うとひとつの代表点というのを決めて、そこを基準にして判断をして頂ければ十分かなと思っています。

ただ、最近の次世代の施設園芸という規模になると、棟をつなげてものすごく広い面積で栽培されているところもあります。ハウスの中の面積が数haあるハウスだったりするのですけど、確かにそういうところだと、環境の差というのが温度も違いますし、湿度も変わってきます。そういう広い施設でも使えるようにという事で、今回新しいバージョンのセンサーボックス「みどりボックスPRO」を用意しました。

 
-それはどこが違うのですか?

今までのみどりクラウドで提供していたセンサーボックスの「みどりボックス」はセンサーが6種類、7系統で、各種センサーが3メートルのケーブルで繋がっています。それが「みどりボックスPRO」では、最大16個まで装備可能になり、ケーブルも50メートルまで伸ばすことができますので、それだけ広い圃場・施設であった場合でも、面的にデータを取ることができます。

 
-さっき代表点を決めるっておっしゃっていましたが、代表点ってどうやって決めるのですか?

一番ベターなのはハウスの真ん中ですね。窓の近くとかだと、外気の影響すごく受けやすくて、偏っちゃうのですよね。そういう意味ではできるだけハウスの中心に設置して頂くというのをお願いしています。

防水性能も上がっていまして。例えばこっちだとACアダプターなのですけど、これは中に電源周りが入っています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
左:旧型、右:新型

 
-外置き用の機材に変わっていますよね。古い方(左側)だとわりと家置き用というか中用のユニットっぽいですけど、右側のこの作りだと外置き用ですよね。隙間のところにパッキンを入れたり、工夫もきっとされたのでしょうね。屋外に耐えられて、風水害だとか気温の問題に耐えられるものは、それなりの機材じゃないと難しいですよね。

実は旧端末の方でも露地で使っている例もありますし、露地だからといって壊れているという事はないのですけど、やはり安心して使っていただくためにコネクター部分の強化を行いました。完全防水コネクター型にする事で、より強力な防水性能を持たせています。あと細かいですがLEDを表示する部分に関しても防水対応をしています。

あとみどりボックスPROでは土壌水分のセンサーが変更になります。新しいセンサーでは土壌水分のほかにEC(電気伝導度)が測れるようになる予定です。ECは土壌や水の肥料濃度の指標として使われています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
土壌水分センサー
農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
温湿度センサー
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CO2センサー
農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
日射量計

この白いタグ状のものは温湿度計です。白い箱がCO2、丸いお餅型のものは日射量計、カメラはウェブカメラを使用しています。

今回「みどりボックスPRO」をあらたに発売しますが、旧型の「みどりボックス」も継続して販売を続けようと思っています。それは何故かというと、「みどりボックス」は8万9千円なのですけど、「みどりボックスPRO」は基本セットで12万8千円です。各種センサーいろいろ揃えると、「みどりボックスPRO」は多分20万円近くなっちゃうので、なかなかまだ使った事のない方が買うには厳しいかなと思っています。

 
-エントリーモデルの方は8万9千円で6個のセンサーも付いてくるのですか?

はい。CO2以外は付いてきます。新しい「みどりボックスPRO」は箱と電源とカメラと温湿度系が付いてきて、あとのセンサーはそれぞれ別売りです。

 
-本体の接続端子をみていると、16系統付かない感じがするのですけど?どうやって16系統付けるのですか?

コネクター自体は6つしかないのですけど、二股に分けることができるのです。

 
-設定をするときは、御社にお願いしないとできないものなのでしょうか。

われわれがオーダーを受けると、それぞれの農家さん用にセットアップした状態でお送りしますので、ユーザーの方は箱開けて電源差せばもうすぐ使えると言う状態です。センサーの固定だけ農家さんに行っていただいてます。

 
-クラウド側というのは基本的にはAzureで提供されているとおっしゃっていたので、インターネット接続で見れるということですよね。

そうです。うちの特徴は、スマホ・PC・タブレット、みなさんやられていると思いますけど、ガラケーにも対応しているという点です。ガラケーだとグラフは見られないのですけど、現在の値と最高値・最低値・平均値というのは見る事はできます。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
ガラケー画面

 
-アラートはメールで飛んでくるのですか?

そうですね。メールで飛んできます。あとガラケーでも写真は見れます。現在の写真ですね。

農家さんも最近ほとんどスマホの方が多いのですけど、それでもやはり現場にいるときはガラケー使うという方が多くて、ガラケー版を開発しました。

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