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NTT、IOWNの実現に向けて「デジタルツインコンピューティング構想」を策定

NTT、IOWNの実現に向けて「デジタルツインコンピューティング構想」を策定

これまで、様々なモノやヒトに関するデジタル化が進んできており、今後はモノ・ヒト・社会などから構成される実世界と、それらを高精度に表現したデジタル情報から構成されるサイバー空間が融合した新たなデジタル社会が到来しようとしている。

これは、実世界とシームレスにつながるサイバー空間上でデジタル情報を用いた大規模かつ高精度な未来の予測・試行が可能になることで、人知の可能性を一層拡大し、これまでの知識共有や共同作業等のコミュニケーションに、より豊かな感情表現や高度な合意形成・意思決定等の新たな価値が加わる新しい世代のデジタル社会だという。

日本電信電話株式会社(以下、NTT)では、この新たなデジタル社会を実現するために、IOWN(※)構想の一つとして、「デジタルツインコンピューティング構想」を策定した。

現在、製造分野等で「デジタルツイン」が注目されている。デジタルツインとは、例えば、機械部品のようなモノの形状、状態、製造工程等を計算機内で正確に表現したデジタル情報だ。また、ヒトに関しても、医療分野におけるMRIやCTスキャン等から得られるデジタル情報の活用は、既存のデジタルツインの一形態と考えられる。

これに対して、同社が目指す「デジタルツインコンピューティング(以下、DTC)」とは、このデジタルツインを大きく発展させ、実世界を表す多くのデジタルツインに対して交換・融合・複製・合成等の演算(デジタルツイン演算)を行うことで、モノ・ヒトのインタラクションをサイバー空間上で自由自在に再現・試行可能とする新たな計算パラダイムだ。

これまで提唱されてきたデジタルツインは、主にデジタル表現された物理的なモノの制御や観測に用いられているが、DTCでは、デジタル化される対象をモノだけではなくヒトにも拡張し、さらにデジタルツイン演算により、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションが可能となることが大きな特長である。

同社は、DTCを用いることで、以下のような社会課題の解決や革新的サービスの創出につながると発表した。

また、DTCは、以下の4層から構成されるプラットフォームとして実現される。

  1. デジタルツインの生成に必要となる実世界のデータ収集と、プラットフォーム上のアプリケーションがデジタルツインを用いて生成したデータを実世界にフィードバックする「サイバー/フィジカルインタラクション層」
  2. 実世界から収集したデータを用いてデジタルツインを生成、保持する「デジタルツイン層」
  3. 様々なアプリケーションがデジタルツインを利用するためのフレームワークを提供する「デジタルワールドプレゼンテーション層」
  4. デジタルワールドプレゼンテーション層を用いてアプリケーションを実現する「アプリケーション層」

DTCでは、ヒトのプライバシーやモノの所有者の意思が尊重され、それらに関わる情報を慎重に扱う。そこで、同プラットフォームの利用に必要となるプライバシーを守るための機構を備えるとした。

デジタルツインコンピューティング構想を含むIOWNの実現には、社会科学、人文科学、自然科学、応用科学、学際領域等、様々な研究・技術分野の集結が必要不可欠だ。NTT研究所では、このような幅広い研究・技術分野の専門家やグローバルパートナーと連携しながら、IOWN構想の実現を目指す。

※Innovative Optical and Wireless Networkの略。

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