ソフトバンク株式会社は、デジタルツインを活用したIPネットワークの運用自動化システムを開発し、全国のメトロネットワーク(※)で運用を開始した。
※メトロネットワーク:コアネットワークとアクセス回線を接続するIPネットワークのこと。
IPネットワークにおける機器の故障から復旧までの一般的なプロセスは、「異常検知」「迂回制御などによるサービスの復旧措置」「機器の復旧措置」「ネットワークの正常確認」という流れで構成されている。
ソフトバンクは、これまでも各プロセスにおける運用自動化を進めてきたが、今回新たにプロセスをまたいだ自動化の障壁となっていた「迂回可否判断」を自動化するため、「迂回可否自動判定システム」を開発し、運用を開始した形だ。
「迂回可否自動判定システム」では、機器や関連システムから取得した設定情報やステータス情報、作業情報、アラーム情報をほぼリアルタイムに収集し、ネットワークの構成変化に特化したデジタルツイン上で状況を分析する。
これにより、実際の状態に基づいた自動判定を実現し、サービス復旧までの時間を大幅に短縮した。また、監視工数の削減や個人のスキルに依存しない安定的な運用体制の構築にも寄与している。
さらに、これまでは技術面やリソース面の制約により実現が難しかった、ネットワーク機器の微細な変化を把握してサービスへの影響の予兆を捉える「予兆検知基盤」を構築し、異常検知と迂回制御を可能にする。
「予兆検知基盤」では、ネットワーク機器からデータを自動的に送信する仕組みである「Telemetry(テレメトリー)」を活用することで、機器の機能有無に依存せず多様なネットワーク機器を対象に、機器の状態や通信統計データなどを従来の約5倍の頻度で取得する。
そして、取得したデータに対して分析やアラート化を行うことで、サービス影響の前兆となる傾向変化を早期に検知する。
今回、これら2つの仕組みで構成されるシステムを全国のメトロネットワークで運用して、通信ネットワークおよびサービス品質の向上を図るとのことだ。
なお、同システムを導入したソフトバンクのメトロネットワークの運用は、通信業界を中心とした国際的な業界団体であるTM Forumが定める「Autonomous Networks(自律型ネットワーク)」の「IP Fault Management」シナリオにおいて、2025年10月10日にレベル3(条件付き自律)の認定を取得した。
ソフトバンクは今後、生成AIなどの技術も取り入れながら、運用のさらなる高度化を進め、「Autonomous Networks」のレベル4(高度自律運用)相当の運用を目指すとしている。
また、コアネットワークなど、他のネットワーク領域にも同システムを展開する計画だ。
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