野原ホールディングス株式会社と東亜建設工業株式会社は、研究施設の増築工事において、施工フェーズでのBIM活用による乾式壁のプレカット施工を導入し、現場施工の効率化(作業時間の短縮)と二酸化炭素・現場廃棄物量の削減効果を検証する共同実証を実施した。
内装工事は、建設プロジェクトの全体工期の終盤に行われる専門工事だ。壁や天井下地、石膏ボード、仕上げ、設備工事等と工種は多岐にわたり、現場従事者も工種ごとに入れ替わり、人数が多いのが特徴だ。
今回の共同実証では、東亜建設工業の技術研究開発センター 第二実験棟の2階の特定エリアにて、野原ホールディングスが提供するBIM設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」の、「内装BIM詳細化」および、「内装BIM-プレカット加工連動」を活用した。
具体的には、東亜建設工業作成の施工BIMから、乾式壁の施工に必要な程度に詳細度をあげた内装施工BIMを野原ホールディングスが作成し、建材(主に軽量鉄骨下地材・石膏ボード)の割付BIM作成、プレカット施工へと展開した。
BIM活用により自動算出される建材数量およびプレカット寸法等をもとに、建材メーカ工場でプレカットを行い、割付BIMをもとに内装工事会社が施工を実施した。
BIM活用プレカット施工により、軽量鉄骨下地材の施工時間は10~20%減少し、石膏ボードの施工時間は1.5~4分/平米の減少を実証。現場施工の効率化を確認した。
また、現場廃棄物量は約36~56%減少し、二酸化炭素排出量は約36~60%減少した。(予測値)
さらに、LGS・石膏ボードのプレカット施工により、現場での高速カッター等の使用頻度が減少。その結果、騒音および火花・粉塵発生の抑制、高速カッター・工作用カッターの誤操作による労働災害の防止に効果を確認したのだという。
これにより、施工BIM作成から内装詳細BIM作成までの業務フロー試行による、協力会社を含めたBIM作成体制の構築と、BIMによる情報一元管理、変更管理における課題を抽出した。
また、内装工事および乾式壁施工における、BIMを活用したプレカット施工導入による在来工法と、現場作業の効率化(人工および作業時間の短縮)や現場廃棄物量・二酸化炭素排出量の比較を行った。
両社は実証結果から、内装工事(乾式壁)へのBIM活用が、二酸化炭素排出量削減・現場廃棄物量の減少と、現場施工時間の短縮による生産性向上に効果があり、技能工不足への有効な解決策となりえるとしている。
一方で、施工BIMの体制・フロー、施工箇所ごとの最適なプレカットと、作業効率のバランス等については課題も明確になったのだという。
今後、両社は実証結果と課題を踏まえ、施工フェーズでのBIMの在り方、内装工事に関連する建具工事や設備工事へのBIM展開等について、複数の建物用途での実証を行うとしている。
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