従来のセルラーIoTデバイス開発においては、物理的なSIMカードとその実装スペース(ソケット)、そしてSIMカード自体の調達・管理コストが課題となるケースが少なくなかった。
特に、スペースや消費電力に厳しい制約のあるウェアラブルデバイスや小型センサなどでは、SIM関連のコンポーネントが設計自由度を制限する一因となっていた。
こうした中、Nordic Semiconductorは、同社の最新セルラーIoTモジュール「nRF9151」が、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が提供する「IIJ SoftSIM」に対応したことを発表した。
IIJのSoftSIMは、SIMの機能をソフトウェアで実装する技術であり、物理的なカードやソケットを完全に排除できる。
従来のSIMカードの代わりにSoftSIMを使用することで、デバイスの小型化、部品表(BoM)コストおよび製造コストの削減、設計の簡素化、そして低消費電力化を実現する。
一方Nordicの「nRF9151」は、セルラーIoTおよびDECT NR+アプリケーション向けに特別に設計された小型のSiPソリューションだ。前モデル「nRF9161」と比較して、実装面積を20%削減し、パワークラス5に対応している。
この「nRF9151」が、IIJの「SoftSIM」と統合されることで物理SIMの制約がなくなり、デバイスメーカはセルラーIoT製品のさらなる小型化や低消費電力化、BoMコストと製造コストの削減を推し進めることが可能になる。
なお、同ソリューションは、日本国内だけでなく、国際ローミングにも対応した通信プロファイルを利用可能とのことだ。
また、IIJは、「nRF9151」と「SoftSIM」を組み合わせたソリューションに関する技術サポートや、PoC開発の支援も提供するとしている。
将来的に「nRF9151」は、非地上ネットワークや衛星通信といったNTNへの対応も予定されている。
NTN技術は、地上インフラの整備が困難な山間部や海上など、従来のセルラー網ではカバーできなかったエリアでのIoT通信を可能にするものであり、これまで接続が困難だった遠隔地へのIoT通信が可能となるとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。