ローデ・シュワルツは、電波の信号が持つ周波数や強度、時間的な変化などを詳細に測定・分析する「FSWXシグナル・スペクトラム・アナライザ」(以下、FSWX)を発表した。
従来のシグナル・スペクトラム・アナライザは、特に高データレートや広帯域幅、複雑な変調方式の信号測定において課題を抱えていた。
そこで「FSWX」は、複数の入力ポートを備え、複数の信号源を同時に測定することを可能にした。
これにより、例えば無線通信におけるビームフォーミング(特定の方向に電波を集中させる技術)や、車載レーダのアンテナアレイなど、複数の電波が複雑に絡み合うシステムの振る舞いを詳細に解析できるようになった。
また、「FSWX」の内部には、独自の「マルチパス・アーキテクチャ」が搭載されており、これにより相互相関(クロスコリレーション)モードを利用することができる。
この機能は、測定器自体のノイズを効果的に除去し、今までノイズに隠れて見えなかったような微弱な信号や、正確な評価が難しかったEVMなどの信号品質を、高い精度で測定することを可能にする。
さらに、最大8GHzという広範な内部帯域幅により、複雑な波形や最新の変調方式も包括的に解析することが可能だ。
加えて、YIGフィルタに代わる広帯域ADコンバータとフィルタ・バンクの採用により、測定対象の信号を選別する機能であるプリセレクションが可能となり、不要な信号の混入を低減し、測定の信頼性を高める。
「FSWX」の活用シーンとしては、5G以降の次世代通信技術の開発・検証を行うモバイル通信・無線通信分野、先進運転支援システム(ADAS)に不可欠なレーダ性能評価を行う車載レーダ分野、複雑な航空機搭載レーダー衛星システムのテストを行う宇宙航空・防衛分野、そして高性能な無線部品の特性評価を行うアクティブRFコンポーネント分野などが挙げられている。
ロード・シュワルツのスペクトラム・ネットワーク・アナライザ/EMCアンテナ・テスト担当副社長であるMichael Fischlein氏は、「FSWXを通じて、信号およびスペクトル解析技術の概念を完全に塗り替えた。進化し続ける無線通信技術やレーダ技術の現場において、これまで達成できなかったような複雑な測定シナリオに取り組むことができる」と述べている。
なお、この「FSWX」は、2025年6月17日から19日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催される「IEEE/MTT-S国際マイクロ波シンポジウム(IMS2025)」にて初めて一般公開されるとのことだ。
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