Super Micro Computer, Inc.(以下、スーパーマイクロ)は、ワンストップショップ型データセンタ向けソリューション「Data Center Building Block Solutions」(以下、DCBBS)を発表した。
同ソリューションは、データセンタを構成するサーバ、ストレージ、ネットワーク、電源、冷却設備、管理ソフトウェアなどをモジュール化し、設計から構築、運用管理までを、スーパーマイクロの製造施設において事前に統合・検証された状態で出荷するというものだ。
「DCBBS」で提供されるサーバ群は、最新のAIおよび高速演算技術を搭載しており、NVIDIA、AMD、Intelの最新GPU/CPUに対応したシステムが含まれている。
また、GPUやCPUなどの発熱量が大きいコンピューティング環境に対応するため、液冷コールドプレートを独自設計しており、各システム内の発熱部から最大98%の熱を除去する。
加えて、ラック背面に設置するリアドア・ヒート・エクスチェンジャー(RDHx)や、ラック内に配置するクーラント分配ユニット(CDU)など、複数の液冷構成を組み合わせることで、250kWから最大1.8MW規模の高密度サーバークラスターを安定稼働させることが可能となっている。
スーパーマイクロのチャールズ・リアンCEOは、「同社の液冷技術を活用することで、従来の空冷型データセンタと比べて最大40%の電力削減が可能になる」と述べている。
電力供給面では、1ラックあたり33kWの電源シェルフや、停電時に48V直流電源で33kWを90秒間バックアップするバッテリーユニットを提供し、安定した稼働を確保している。
ネットワーク面では、スーパーマイクロが提供するイーサネットスイッチが最大800GbE/51.2Tbpsの帯域に対応しており、AIやHPCなど用途に応じた最適化が可能だ。
さらに、イーサネットだけでなく、InfiniBandやOmni-Pathといったパートナー製ネットワークも構成に応じて選択できるようになっている。
なお、これらの構成要素は全て、スーパーマイクロの製造施設で統合済みの状態で出荷されるため、導入現場での組み立てや調整工数を最小化できる。
さらに同社は、「DCBBS」で構築されたデータセンタの管理・制御を支援するソフトウェア群も併せて提供する。
一つ目は、ラック単位での管理を可能にし、サーバやネットワーク機器、PDUやCDU、液冷塔や他社製システムまで含めて単一ポータルで統合管理できるプラットフォームである「SuperCloud Composer」だ。
電力監視、水漏れ検知、GPU温度監視などを含むセーフティ機能を備え、2万台を超えるホストを一括制御することが可能だ。
二つ目は、ファームウェア更新やKubernetes環境構築などを自動化する、データセンターおよびエッジインフラに対応する企業向けの自動化プラットフォーム「SuperCloud Automation Center」だ。これにより、セキュリティとガバナンスを担保しながら、AIワークロードの展開を支援する。
三つ目は、開発者向けのセルフサービス型プロビジョニング環境「SuperCloud Developer Experience Console」で、コードからモデルまでを迅速かつ安全に構築できる環境を提供する。
また、マルチテナント対応のAIクラウド制御プラットフォームである「SuperCloud Director」を活用して、ベアメタル、イーサネット、InfiniBandネットワーク、そして複数のストレージ基盤を統合管理することができる。
そしてスーパーマイクロは、今回の「DCBBS」の一環として「Supermicroグローバルサービス」の提供も開始している。
これは、データセンタ設計やソリューション検証、現地展開支援を含む包括的なサービスであり、導入後も4時間以内のオンサイト対応など、ミッションクリティカルな運用を支える体制を整えている。
さらに、新設のデータセンタだけでなく、既存の空冷施設から液冷施設への移行にも対応し、顧客のニーズに応じて柔軟な構築支援を提供するとのことだ。
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