住友ベークライト株式会社は、同社の静岡工場に、株式会社エスマットのIoT在庫管理・DXソリューション「SmartMat Cloud(スマートマットクラウド)」を導入し、安全性と業務効率の両立を実現したと発表した。
住友ベークライトの静岡工場のHPP技術開発研究所では、新たな樹脂開発のために多種多様な化学薬品を扱っており、中でも毒劇物は厳格な管理が求められる。
同研究所では法令に基づき、日々の在庫量記録や月1回以上の棚卸を実施してきたが、10kgを超える容器を手作業で秤にかける作業が数百回に及び、担当者1名で丸1日から1日半を要していた。
また、紙による記録・承認フローには200枚以上の書類確認が発生し、管理者・上長・所長など複数の承認を経る必要があった。
このため、研究補助業務へのリソース確保が難しく、現場では「負担が大きく本業に支障をきたしている」という声が上がっていた。
そこで今回、物品を載せるだけで重量を自動記録し、クラウド上で在庫推移をリアルタイムに把握できる仕組みを備えている「SmartMat Cloud」を導入した形だ。
導入後は、毒劇物だけでなく40〜50kgの小型タンクや板物など、従来管理が難しかった物品にも対応。複数マットを組み合わせて大きな対象物を管理することも可能になった。
さらに、棚卸作業は1日〜1.5日から約30分に短縮されたほか、日々の使用記録や承認作業も電子化され、紙の印刷・回覧が不要となった。
また、スマートマットによる在庫推移の可視化により、危険物の保管量上限を正確に把握することが可能となり、過剰在庫を防ぎ、保管スペースの有効活用にもつながっているのだという。
一方、毒劇物管理は法規制の影響が大きく、社内ルールの見直しも必要であったため、導入にあたっては社内外の合意形成が最大の課題となった。
そこで、検証期間を設け、現場で実際に使ってもらうことで理解を進め、最終的に評価を得て本格運用へ移行した。
設置スペースの確保にも苦労したが、レイアウト調整を繰り返すことで、初期20台から80台規模への拡張を実現した。
現在は毒劇物中心の運用だが、今後は通常の資材管理や研究部全体への展開を進める方針だ。
さらに、棚卸作業の負担がより大きい製造現場にも横展開を検討しているとのことだ。
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