成功例を出していくことが求められている
杉山: Society 5.0の本格実装に向け、データ連携基盤の取組みを推進や、分野横断のデータ標準化の検討をしており、国際化、スピードアップ、成功例を出していくことが求められています。
会員からの一番多いご意見は、「データ取引における交渉の進め方がわからない」といった内容です。さらに、「データ利活用に関する社会的合意形成や規制制度の運用基準が不明確」というグレーゾーンの多さも指摘されています。
すでにデータ流通ビジネスを開始している各企業からは、「国から支援を受けているDTAさんがこれから厳格な決まりを作ってしまって、事業を阻害されることがあるのでしょうか?」という意見をもらっていますが、全く違います。
既に事業や実験を開始している企業が、更にデータを連携して事業拡大を行う場合や、新たに参入する企業が簡易にさまざまなデータを連携できるなど、企業がデータ流通ビジネスを推進しやすくする仕組みを作っています。
小泉: 基本的には「データは流通させるべきだ」という社会的にも共通認識はできていて、どういうデータフォーマットにするとか、技術的にどういう連携をしていくのかなどがまだ決まっていないということですよね。今、ルール的な話は聞けたのですが、仕組みの方はどうでしょうか?
杉山: 現在、技術基準検討委員会にて、データ流通用のデータカタログ、メタデータ、APIに関するユースケースや要件の検討やデータ流通(利活用)時のデータ品質項目(要件)に関する検討等を行っています。
また、具体的な実証実験として、DTAおよび他団体と共同で、「データ取引所」を介し、データ提供者とデータ受領者間のデータ授受の大規模ハンズオン実証実験を実施します。
総務省と経産省が一緒になり、積極的に活動
小泉: データのやりとり自体は、国で決めなければいけないものなのか、当事者同士で決めるものなのか、実際のところどうなのでしょうか?
杉山: 実際、今は当事者同士で決めていますが、我々もそうあるべきと考えます。DTAは今足踏みしている企業に安心感を与える仕組みと、困っていることがあったら解決する策を一緒になって考えていきます。この件に関しては、総務省と経産省が両省の垣根を超えて協力してくれています。
小泉: この団体に入ってほしい企業はどういう業種でしょうか?
杉山: 多くのデータを保有しており活用したい、他社のデータを活用したい等、データ流通ビジネスに興味がある企業ですね。参加している企業同士が一緒に事業をはじめることも推奨しています。日々大変多くの問合せをいただいています。
小泉: 自分も少し誤解していましたが、DTAは国がルールを決めるための根回し団体のように見えているところはあるかもしれません。今日お話を伺って、そういう側面もあるにせよ、どちらというとみんなでルールを決めようとしているイメージを持ちました。
杉山: 中小企業は国とどう交渉していいかわからないこともあると思いますので、そのロビー活動のお手伝いをしている部分もあります。そもそも僕を担当理事に任命したということは、そんなにお堅い団体ではないと思います(笑)
皆さん打ち合わせや勉強会、ワークショップにも積極的に出席し、さまざまな意見を交わしています。今後はサイトの英語化もすすめ、海外企業にも参加してもらいたいと思っています。
小泉: 本日はありがとうございました。
【関連リンク】
・一般社団法人データ流通推進協議会 (Data Trading Alliance)
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