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製造部品の予兆検知を簡単に行う「OMNIedge」の正式受注開始

2019年12月10日、THK、NTTドコモ、シスコシステムズ(以下、シスコ)、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は製造業向け機械部品の予兆検知サービス「OMNIedge」の正式受注を12月18日より開始することを発表した。

メンテナンス領域での課題に着目するTHK

「OMNIedge」とは、製造部品にセンサーを付けて部品の状態を可視化し、予兆検知を行うという製造業向けサービスだ。

THK含む4社はなぜ「OMNIedge」の構築に至ったのか。その背景についてTHK 取締役執行役員 寺町崇史氏は以下のように説明する。

THK 寺町崇史氏

現在の製造業ではプロダクトライフサイクルの短期化による開発期間の短縮、電子デバイスに代表する急激な需要変動へのフレキシブルな対応、労働人口減少による自動対応など、生産性向上が急務だ。そのような中で自律的なシステムを構築するには、データの活用がもっとも重要なファクターと見なされている。

この点においてTHKが注目したのがメンテナンスの領域である。特に部品のメンテナンスについて同社が製造現場の顧客と会話をする中で、以下のような3点の課題が浮かんだという。

こうした課題をデジタルの力で解決し、製造業に貢献できないか、という考えから「OMNIedge」というサービスの商用化に至ったそうだ。

「OMNIedge」の仕組みと導入メリット

「OMNIedge」は以下のような仕組みで部品の予兆検知を行う。

赤丸部分がアタッチメントによって取り付けたセンサモジュール

まずTHKの開発したセンサモジュールを部品に取り付け、振動データを独自アルゴリズムに通すことで破損状態と潤滑状態を数値化する。そのデータはシスコの提供するエッジコンピューティングルータを介し、NTTドコモのLTE回線を使ってクラウドに送られる。

クラウドに送られたデータは予兆検知ソフトによって過去データとの比較などができるのみならず、閾値を設定することによってメールでのアラート機能を使うことができる。

予兆管理を行うダッシュボード画面。オレンジ色の線が設定した閾値

12月18日から始まる正式受注での対象部品はLMガイド。今後はボールねじや他部品への対応も広げていく予定とのことだ。

今回のLMガイドを対象とした「OMNIedge」による部品の状態の可視化は、THKの構想では第1ステップの段階にある。まずはLMガイド・ボールねじの可視化から行い、次にデータとの関係性を比較できるようにし、最終的にはAIや機械学習と掛け合わせ、異常を予測できるレベルまで持っていきたいという。

製造現場が「OMNIedge」を導入するメリットについては、THK・寺町氏は以下の3点を挙げた。

このうち、特に強調されていたのは「簡単」である。

「簡単」を象徴する要素として、センサモジュールの取り付けやすさがある。THKの提供するセンサモジュールはアタッチメントによってワンタッチで取り付けができるようになっており、既設の機械へ容易に取り付けられるようになっている。

さらにセンサーからクラウドサービスまでを一気通貫するメリットについては以下のような発言があった。

「センサーで収集したデータをシスコの堅牢な閉域ネットワークVPNで通信させ、その際にNTTドコモのSIMカードを使用し、CTCのインフラ技術を活用してクラウド上で大切なデータを解析する、というシステムを構築した。各分野のリーディングカンパニーが協業することでスピーディかつ信頼性の高いシステムになったと思う。THKとしても保管に留まらないシナジーが出せることを期待している」(寺町氏)

導入のハードルを下げる料金体系

「OMNIedge」は2018年10月より約1年間の無償トライアルを行ったという。トライアルを希望した企業は100社を超え、うち51社が実際に「OMNIedge」を実際に設置。その中の37社がトライアル後の本格運用について打ち合わせをしている段階だそうだ。

トライアル企業のうち、2社からのフィードバックが紹介された。

1社目は石川県でスチール・アルミ製可動間仕切の製造などを行う小松ウォール。同社は「いつもと違う変化点が出た場合、ブロックのみを交換するなど、レール交換のような大掛かりな作業を避けることが出来る、効率的なフローが構築できるのではないか」と、現場での作業の手間が少ないことを挙げた。

2社目は愛知県で自動車用シートの部品製造を行うA社で、「LMガイドの状態を事前に把握し、装置の停止時間を減らすためにトライした」と、作業効率の向上に「OMNIedge」を活用したという。

「OMNIedge」の料金体系についても会見内で説明があった。THKは無償トライアルを行う中で企業より「開始時のコストを下げたい」という要望を多く受けていた。一方で使用する機能に応じてプランを分けることや、「所有する時代」から「利用する時代」への変化に対応することの必要性をTHKは感じていたそうだ。

そのため、「OMNIedge」ではサブスクリプションモデルを採用し、3センサー/1アンプにつき月額8,000円からスタートできる形になっている。この料金体系について、THK・寺町氏は「ライトにサービスを始めることが出来ると思っている」と意見を述べた。

現場への簡単な導入を目指す

会見ではシスコ・NTTドコモ・CTCの代表も登壇した。

シスコ 執行役員 情報通信産業事業統括 濱田義之氏は同社の役割を大きく2つに分けて説明した。

シスコ 濱田義之氏

まず1つは製造業向けIoTネットワークのコンサルティングおよび開発である。この点については、「本業以外における要素技術の負担を軽くする、あるいは無くす」ために、ITエンジニアが新たに参加し設計・構築をすることが無くても実装できるようなエンドツーエンドでのゼロタッチプロビジョニングを目指したという。この点はTHK・寺町氏が「OMNIedge」導入のメリットとして挙げた「簡単さ」を実現する1つの要素になるのではないか、という意見も加えられた。

2つ目がエッジコンピューティングルータおよび自動化制御システムなど関連プロダクトの提供である。エッジコンピューティングを活用することで高速かつ高度な情報処理を行い、膨大なデータをエッジからデータセンターまで安全かつ確実に収集できるようにしたという。

NTTドコモ 谷直樹氏

NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長 谷直樹氏は「OMNIedge」提供におけるポイントを3点挙げた。

このうち、1点目の「簡単に導入できるソリューション」については、「IT技術者がいなくて電源のルーターを入れるだけでデータ収集が出来るようなIoT基盤を提供する」ということで、モバイルネットワークを活用することで顧客がすぐにソリューションを導入できるような環境を整える旨を述べた。

CTC 寺田育彦氏

最後に挨拶を行ったCTC 常務執行役員 寺田育彦氏は「サービスのインフラ基盤構築・保守運用を担当する。その分野において製造業、特に自動車業界などの工場現場のIT基盤に関する知見を活かしていきたい」と同社の役割を述べた。

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