IoT NEWS

東芝デジタルソリューションズ、GRIとの画像AIを活用した風力発電用タワーの外観検査に関する実証実験に成功

スペインのGRI Renewable Industries(以下、GRI)は、世界の大手風力発電機メーカ向けに、風力発電設備を支えるタワーの製造・販売を手掛けている。

風力発電用タワーは、直径3~15メートルと、非常に大きな構造物のため、タワーの外側表面と内側表面の外観検査や溶接部の形状検査をする必要がある。しかしタワーが大型であるため、検査員による目視検査に時間がかかり、検査品質にバラつきが発生するという課題があった。また、大型なタワーを検査可能な一般的な検査装置は存在しなかった。

そうした中、東芝デジタルソリューションズは本日、GRIと2021年3月から行っている画像AIを用いた外観検査に関する実証実験にて、大型構造物に対する高精度な外観・形状検査に成功したことを発表した。

実証実験では、GRIのセビリア工場(スペイン)において、東芝デジタルソリューションズおよび東芝 生産技術センターが持つ画像AI技術と、大型検査装置を組み合わせた、風力発電用タワーの外観・形状検査を行い、その効果を確認した。

東芝デジタルソリューションズ、GRIとの画像AIを活用した風力発電用タワーの外観検査に関する実証実験に成功
新たに設計された風力発電用タワーの外観・溶接形状の自動検査装置。

東芝の画像AIと、GRIと共同設計した検査装置を組み合わせることで、風力発電用タワーの外観検査と溶接部の3D形状検査を自動化した。

タワー構造物を大型検査装置に設置し、自動検査するシステムを実証実験で導入。カメラと3D検査システムの組み合せにより、外観不良と溶接部の形状不良を自動検査するとともに、不良位置も検出され、システムで記録される。

また、東芝独自の良品学習方式を使った「Meister Apps AI画像自動検査パッケージ」を採用し、風力発電用タワーの外観検査を実施。実証実験の中では、精度評価用に準備した傷、凹みなどの不良が100%検出された。

外側表面および内側表面の外観検査

さらに、溶接部の形状検査では、溶接の角度や幅を計測し、アンダーカット・スパッターなどの溶接不良を検出する。実証実験の中では、精度評価用に準備した、製品品質上重要な溶接不良が漏れなく検出された。

溶接部の形状検査

これらのソリューションは、検査員の作業効率性や検査品質の平準化に貢献する。

東芝デジタルソリューションズは、今後も実証を続け、GRIの株主でもある三井物産株式会社とも連携しながら、実証の成果をGRIの他工場へ水平展開することを目指すとしている。

モバイルバージョンを終了