スチームトラップは、機器に溜まった凝縮水を排出する、蒸気輸送管や熱交換器、空調機などに用いられる自動弁だ。スチームトラップの不具合による損失額は、一般的に工場全体で年間数百から数千万円に及ぶため、多くの場合、多数のスチームトラップを日常的に作業員が巡回点検で監視しているのだという。
こうした中、横河電機株式会社は、同社の制御事業の包括的ブランドのソリューションの一つである「Sushi Sensor(スシセンサ)」の新ラインアップとして、無線スチームトラップ監視デバイスを開発し、2023年11月から国内で販売を開始することを発表した。
「Sushi Sensor」は、耐環境性に優れ、広域使用に向いた産業用IoT向け無線ソリューションだ。
今回開発された無線スチームトラップ監視デバイスでは、最高蒸気温度440℃以下の環境で使用することができ、温度センサと音響センサにより、スチームトラップの状態を判定する。
1km程度離れての通信が可能で、広大なエリアの設備監視を可能とする長距離無線LoRaWANR通信を採用している。1台の基地局で、広域に配置される複数の監視デバイスをつなぐことができる。
また、別売りのデータロギングソフトウェアGA10や、広域モニタリングシステムなどを活用することで、工場内に点在する各スチームトラップの状態も含めて集約して把握することが可能なほか、「Sushi Sensor」のラインアップである無線圧力センサ、無線温度センサ、無線振動センサと組み合わせることで、幅広い設備監視を行うことができる。
主な市場は、石油、化学、天然ガス、発電所、再生可能エネルギーなどの資源・エネルギーや、繊維、紙パルプ、ゴムなどの素材、食品・飲料や製薬などの蒸気配管設備におけるスチームトラップの状態監視が挙げられている。
横河電機執行役員 横河プロダクト本部長 田野口宏氏は、「将来的には、スチームトラップの状態に応じたエネルギー損失推定金額を算出し、リスクの高い設備から優先的にメンテナンスを行う計画が作成できるエネルギー監視ソリューションを提供していく予定です。」と述べている。
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