SiemensとNVIDIAは、グローバルな製造業向けに、産業用AIを牽引する事業提携を強化すると発表した。
今回の協業で、NVIDIAのAIとアクセラレーテッドコンピューティングを、Siemens Xceleratorプラットフォームおよび製品と接続し、AIを活用した未来の工場の実現を目指す。
両社はすでに、2022年にSiemens Xceleratorポートフォリオの技術をNVIDIA Omniverseプラットフォームに接続することで、産業用メタバースを実現するためのパートナーシップを発表している。
その後、このパートナーシップは、生成 AI、産業用 AI、ロボティクス分野におけるコラボレーションとともに拡大されている。
今年初めに発表された「Teamcenter Digital Reality Viewer」は、製品ライフサイクル管理に基づく可視化において進化を遂げている。
これにより、リアルタイムレイトレーシング機能が「Teamcenter」に直接組み込まれ、企業は自社製品のフォトリアルな物理ベースのデジタルツインをシ可視化し、相互作用できるようになり、より迅速かつ情報に基づいた意思決定が可能になる。
すでに造船会社のHD現代は、この機能を活用して水素およびアンモニア燃料船の可視化を実現しているのだという。生成AIにより設計反復時間を数日から数時間に短縮しながら、数百万の部品をリアルタイムで管理している。
顧客は、NVIDIA Blackwell GPUとSiemensの計算流体力学ソフトウェア、Simcenter Star-CCM+を組み合わせることで、高速化された仮想シミュレーションとテストが可能になる。
例えば、NVIDIA BlackwellとNVIDIA CUDA-Xライブラリによって高速化されたSimcenter Star-CCM+ソフトウェアを使用して、BMW GroupとSiemensは、車両全体ジオメトリの過渡空力シミュレーションで30倍の高速化を達成し、エネルギー消費とコストを削減しながら車両の空力シミュレーションを高速化した。
また、SiemensとNVIDIA は、工場の運営方法も再定義している。NVIDIA GPUに対応した新しいSiemensの産業用PCは、AI搭載の産業用コンピューティングを実現し、熱、ほこり、振動に耐えながら常時稼働が可能だ。
これらは、AIベースのロボティクスから品質検査、予知保全といった、複雑な産業自動化タスクを可能にし、AIの実行速度を25倍高速化する。
さらに、AIエージェントがSiemens Industrial Copilotポートフォリオ全体で機能し、人間の介入なしでAIを活用したプロセス全体を実行する。
なお、Industrial Copilot for Operationsは、製造現場のオペレータに生成AIを提供し、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPUを搭載したオンプレミスで動作するように最適化されている。
また、Operations Copilotは、NVIDIA NeMoマイクロサービスとNVIDIA AI Blueprintを活用し、ビデオの検索と要約を行うことで、製造現場の運用にリアルタイムのAIによる支援を提供し、事後対応のメンテナンス時間を30%削減するとのことだ。
さらに、製造業者に産業システム全体の360度可視化と、強化されたサイバーセキュリティ運用を提供するために、SiemensはNVIDIAと協力し、NVIDIA BlueField DPU を統合することで、新しいクラスの運用技術(OT)サイバーセキュリティを開拓しているという。
これは、AI駆動のサイバーセキュリティの実現を目指し、アクセラレーテッド コンピューティングを活用する。
NVIDIAの創業者兼CEOである ジェンスン フアン氏は、「現代の製造業は、効率と品質の向上、変化する市場ニーズに迅速に対応するというプレッシャーに直面している。Siemensとのパートナーシップは、NVIDIAのAIとアクセラレーテッド コンピューティングを企業に提供し、産業用AIの次なる波に新たな機会を創出する」と述べている。
一方、Siemens AGの社長兼CEOであるRoland Busch氏は、「AIは製造業とインフラを根本から変革している。過去3年間にわたり、私たちは AI モデルとハイパフォーマンスコンピューティングを産業データとドメインノウハウに統合するために緊密に協力してきた。SiemensとNVIDIAは、あらゆる業界の企業が物理世界におけるAIのスケール効果の恩恵を受けられるように支援している」とコメントしている。
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