製造業の現場において、設備の制御を担うPLC(プログラマブルロジックコントローラ)のプログラム設計は、高度な専門知識と経験を要する業務である。
しかし、技術者の高齢化と人材不足が進む中、膨大な仕様書の理解や独自言語によるコーディングが必要なこの工程は、熟練者への依存度が高く、業務の属人化が深刻な課題となっていた。
こうした中、オムロン株式会社は、株式会社Laboro.AIの支援のもと開発した「PLC向け設計コード生成AI」の取り組みを発表した。
同ソリューションは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、設計エンジニアがチャット形式にて自然言語で指示を入力することで、制御プログラムの設計をAIが支援するものである。
具体的には、「リファレンス探索」と「コーディング」の2つのプロセスを自動化する。
リファレンス探索では、エンジニアが仕様書に関する質問をすると、AIがハードウェア情報や、PLC設計で用いられるプログラミング言語であるST言語コードに関する情報を検索し、該当するものを抽出する。
コーディング作業の自動化に関しては、AIが抽出されたリファレンス情報の内容を読み取ったうえで、ST言語の設計コードサンプルを生成し、コーディングの土台をエンジニアに提示する。
これにより、経験の浅いエンジニアでも熟練者に近い品質でコーディングが可能となり、作業工数の削減だけでなく、技術伝承や人材育成の観点でも効果が期待できる。
なお、同技術は、2025年11月に開催された「IIFES 2025」において最新の成果として公開されたものだ。

