製造業の設計・開発プロセスにおいて、製品図面や技術仕様書などの仕様一致を確認する照合業務は、品質担保に不可欠である。
しかし、従来は担当者の手作業と目視に依存しており、膨大な工数を要するだけでなく、人為的ミスによる後工程での手戻りや経済的損失のリスクが経営上の重要な課題となっていた。
さらに、照合対象の多くがPDF形式の非構造化データであることが自動化の妨げとなっていた。
こうした中、パナソニック コネクト株式会社は、設計・開発部門の図面や設計仕様の照合業務を高度化するため、独自開発した「Manufacturing AIエージェント」の社内利用を開始したと発表した。
このAIエージェントは、複数のPDF図面からテキスト情報を自動で抽出する。そして、抽出されたデータをもとに、製品図面と部品図面、あるいは技術仕様書の間で材質や仕上げといった項目をAIが自動で照合し、結果を一覧表示する。
これにより、担当者は複数のドキュメントを見比べる必要がなくなり、AIの支援を受けながら迅速かつ正確に確認作業を完了させることが可能となる。
実運用においては、これまで目視で50分から340分程度かかっていた照合業務を10分に短縮し、作業時間を最大97%削減することに成功している。
また、作業プロセスの標準化により、担当者ごとの品質のばらつきも抑制されるという。
なお、同システムは、社内のあらゆるデータを一元的に集約・活用するためのAI・データ基盤「コネクトコーパス」を具現化する取り組みの一つである。Snowflake社のデータクラウドプラットフォーム上で、同社のAI機能である「Cortex AI」を活用して内製開発されたものだ。
パナソニック コネクトは今後、同AIエージェントの適用範囲を規格の照合や外装部品の照合から開始し、他の照合業務へも水平展開することで、設計・開発領域全体の生産性向上を図る計画だ。

