製造現場において、熟練技術者の退職や慢性的な人手不足に伴う技術継承の難航が深刻な課題となっている。
複雑な工程を持つ現場の品質維持には、作業の前後関係や全体の流れを把握する熟練者の経験が不可欠であったが、従来の画像認識AIは単一工程の「点」での認識にとどまり、作業の文脈を理解できないという限界が指摘されていた。
こうした中、株式会社ソフトクリエイトは、現場で「いま何が起きているか」を時系列で総合的に把握し、熟練者の状況判断を補完する状況認識AI「メニナルAI」を発表した。
新たに開発された「メニナルAI」は、静止画や動画に加え、温度、湿度、LiDARなどの各種センサから取得したデータを時系列で統合する機能を備えている。
数枚の静止画からでも状況を認識できる軽量な設計を採用しており、画像内の物体や状態を「タグ」として認識し、その発生順序から工程の文脈を把握する同社独自の特許技術を活用することで、熟練者の判断プロセスに近い状況解釈を実現する仕組みだ。
また、同システムは機密性の高い製造現場での利用を前提としており、クラウドに依存しないエッジデバイスでのデータ処理を採用している。
小型のローカル生成AIと従来型アルゴリズムを組み合わせることで、外部への情報漏洩リスクを抑えつつ、通信およびクラウド環境の運用コストを大幅に削減することが可能となる。
さらに、認識では高度な画像処理で高品質なデータをAIに渡し、AIが出した判断結果を後から補正するという独自の多段階プロセスを実装。対象物を正確に捉える高度な画像処理技術や、推論結果のブレを抑える認識補正技術を搭載し、時系列判断の安定性を高めている。
導入した後も、現場ごとのデータを用いた追加学習や、現場作業者のフィードバックを反映させる強化学習に対応することで、精度を向上させる仕組みだ。
なお、同社が実施した製造現場での実証では、その効果がすでに確認されている。
具体的には、300以上の細かな手作業で構成される現場において、画像とセンサ情報の組み合わせにより工程ごとの状況を可視化し、作業の自動抽出を行うことで生産効率の向上に寄与した。
また、金属の反射等により従来のAIでは困難とされていた部品の嵌合(かんごう)状態の検品においては、AIによる独自の画像補正技術などを用いることで、99.9%という精度での不良検出を達成したのだという。
今後の展望としてソフトクリエイトは、同システムを状況認識にとどまらず、安全な次の行動を提案する「予測・見守りAI」へと発展させる計画である。
さらに将来的には、音声認識を担う「ミミニナルAI」や機器制御を行う「ウデニナルAI」といった機能を拡充し、現場に自然に溶け込む「頼りニナルAIシリーズ」としての展開を予定しているのだという。

