株式会社日立製作所は、現場作業者と複数のAIが対話を通じて作業の振り返りを行い、現場で得た知見を組織全体で活用できるようにする「AIデブリーフィング(振り返り)技術」を開発したと発表した。
同技術は、ファシリテーターAIやピアAI(同僚役)、エキスパートAIといった役割の異なる複数のAIが協調し、作業者の「なぜ(根拠)」を起点に作業後の振り返りを進行する仕組みだ。
作業データや手順と連動しながら判断に至った因果関係や原理原則を整理し、作業者が自身の言葉で判断の背景を説明できる状態へと導く。
そして、システム内に蓄積された現場固有のドメインナレッジを活用し、機器故障などの物理現象の因果関係をデジタル上で可視化してフィードバックを行うことで、作業の確実な実行と深い理解を同時に支援する。
具体的な導入効果として、空調保守業務を模擬した社内検証において、従来のチャットボット形式による1対1のAI対話と比較し、作業者の知識定着テストのスコアが約70%向上することが確認された。
また、学びの質や主体的に取り組む集中度の大幅な改善も実証されている。これにより、個人の経験が組織の知見として定着し、例外的な事象にも柔軟に対応できる現場対応力の大幅な向上が見込まれる。
なお、同技術は、同社の次世代AIエージェント「Naivy(ナイヴィー)」を中核とし、現場データと複数のAI・ロボットを連携させて自動で協調動作させる「フィジカルAIオーケストレーションシステム」の主要機能として統合されるものだ。
日立は今後、製造・建設・電力など幅広い現場業務を担うパートナー企業との実証実験を通じて、ユーザの習熟度に応じてAIの支援レベルを動的に調整する機能などを強化し、同技術の適用領域を拡大していく計画としている。

