株式会社日立製作所は、製造業の品質保証業務を大幅に効率化するAIエージェント「品質ナレッジシステム」を、同社の次世代ソリューション群「HMAX Industry」のラインアップとして、2026年4月より提供開始したと発表した。
同システムは、膨大な過去の品質関連データと熟練者の業務プロセスを分析・形式知化し、トラブル対応における一連の業務を支援するソリューションだ。日立の専門組織「Generative AI センター」のノウハウを活用し、熟練者が有する100件以上の業務知見をAIへ組み込み構築されている。
最大の特徴は、熟練者がどのようなキーワードや順序で情報を探索し判断してきたかというプロセスをデジタルで再現している点にある。
これにより、経験の浅い担当者であっても、自然言語の質問や顧客からの問い合わせ文面から過去の対応記録を高精度に検索でき、迅速な初動対応が可能となる。
また、事象や対策方針などのキーワードを入力するだけで、専門的で読みやすいトラブル対応のドラフトレポートを迅速に作成できる機能も備えている。
なお、日立の大みか事業所にて、自らを最初のユーザーとして実効性を検証する「カスタマーゼロ」の取り組みでは、トラブル対応事例の検索時間を1件あたり60分から5分へと約9割削減し、対応レポートの作成時間を120分から15分へと8割以上削減することに成功している。
さらに、不具合の原因分析時間も16時間から3時間へと短縮され、顧客対応の迅速化とサービス品質の向上に大きく寄与しているとのことだ。
日立は今後、同AIエージェントに多角的な品質状況分析を行う機能を追加し、不具合抑止策の立案サポートや製品自体の品質向上に貢献していく計画だ。
さらに同社は、品質保証業務にとどまらず、得られたナレッジを設計から製造、保守に至る全工程へ循環させることで、現場の知恵をモノづくりの上流工程へフィードバックする好循環サイクルの確立を目指している。
フィジカルAIのリーディングカンパニーとしてOT(制御・運用技術)領域との連携も進め、産業全体の変革と顧客のライフタイムバリュー最大化を支援していく方針だ。

