大塚製薬株式会社と米国のClick Therapeutics,Inc.,(以下、クリック)は、共同開発したデジタル治療アプリ「Rejoyn」が、米国食品医薬品局(以下、FDA)から、22歳以上の大うつ病(MDD)患者の補助療法として認可を得たと発表した。
「Rejoyn」は、すでに臨床的にその効果が実証されている「様々な感情を表す顔の表情を用いた認知機能訓練」と「アプリによる認知行動療法」といった2つの治療方法を組み合わせ、6週間の治療セッションを通じて、抗うつ薬を服用している患者のうつ症状を改善するように設計されている。
一般に流通しているウェルネスアプリとは異なり、臨床試験で有効性と安全性が確認された医療機器のため、医療従事者の処方が必要となるものだが、2024年後半には米国において、iOSとAndroidのアプリストアでダウンロード可能となる予定だ。
なお、今回の認可は、抗うつ薬を服用している22歳から64歳までの成人のMDD患者386名を対象とした、13週間の多施設共同、無作為化比較試験の結果に基づいている。
結果として、「Rejoyn」治療群は対照群と比較して、うつ症状の改善を示し、複数のMDDの評価尺度において一貫した改善効果が確認されたのだという。
また、6週間の治療プログラム終了後も1ヶ月間にわたり「Rejoyn」治療群は症状改善効果を維持したほか、試験中に「Rejoyn」に関連する副作用は報告されなかった。
大塚製薬取締役兼、大塚ファーマシューティカルD&C上級副社長兼CMOのJohn Krausは、「Rejoynは、現在の標準治療を補うMDDの革新的な補助療法だ。大塚製薬は、精神疾患を抱える人々の未解決のニーズに対応するという強い使命感を持ち続けており、Rejoynの認可は、それを実現する一例だ。」と述べている。
また、クリック社の科学アドバイザーであるBrian Iacoviello博士は、「Rejoynは、うつ病が影響を与える脳の特定領域における連携を強化することを目指し、それぞれの患者に合わせて設計された一連の脳エクササイズを提供する。これは”脳の理学療法”のような作用をする。感情をコントロールする脳の部分と、それを調整する部分との間の強固なつながりを形成することで、感情を適切に処理できるようになる」と述べている。
さらに、クリックの社長兼CEOのDavid Benshoof Klein氏は、「MDDと診断され、抗うつ薬や心理療法を初期治療として受ける患者の治療満足度は十分ではない。Rejoynの認可は、MDD治療において根本的な変化をもたらすものであり、新たな治療選択肢を求めている患者に希望を与えるものだ」とコメントしている。
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