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OKIなど5社、AIエッジコンピューティング技術開発プロジェクトを開始

沖電気工業株式会社(以下、OKI)、公立大学法人会津大学(以下、会津大)、綜合警備保障株式会社(以下、ALSOK)、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(以下、JMU)は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業である「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の研究開発項目の一つである「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に採択され、技術開発プロジェクトの業務委託契約を締結した。

また、創屋株式会社は会津大の再委託として、慶應義塾大学理工学部電子工学科の青木研究室(以下、慶大 青木研)はOKIの再委託としてプロジェクトに参画する予定。

社会で急増したデータの効率的な利活用を促進するためには、全てのデータをクラウドで処理するのではなく、ネットワークの末端(エッジ)で処理することが求められる。近年、エッジでの処理高度化にディープラーニング技術の活用が注目されているが、実際に車や監視カメラなどへ搭載するには、電力消費や発熱などに大きな課題があるという。

これらを解決しながらデータの高度利用を実現する「AIエッジコンピューティング技術(※1)(以下、AIエッジ技術)」の確立が求められている。

このプロジェクトは、ディープラーニング技術を高い電力効率で実行する「ソフトテンソルプロセッサ技術(※2)」、高効率かつコンパクトにモデルを圧縮し演算量を削減する「高効率モデリング技術(※3)」、4K/8Kなどの超高精細画像に基づき遠隔まで細かく、広範囲の状況を把握するモデルを実現する「広範囲大規模認識技術(※4)」の3層で構成される技術の研究開発。

これにより、車・船舶などの移動体や高所等に設置されたカメラから超広範囲かつ高精細なセンシングを、GPU(※5)比1/20以下の極めて低い消費電力で実行できるAIエッジ技術を目指しているという。

OKI、会津大、ALSOK、JMUは、2018~2020年度の約3年間でこれらの研究開発を共同実施し、各事業領域において試験実装することで開発技術の効果を確認する。その結果、日常生活やビジネスのさまざまなシーンで社会へ埋め込まれるIoT機器やそのアプリケーションへ応用可能なAIエッジ技術の開発を加速するという。

研究開発概要は以下の通り。

各機関の関連実績と担当概要は以下の通り。

※1:エッジコンピューティング技術
センサーや端末の近くに演算能力を分散配置することで、サービスの応答性を高め、ネットワークのトラフィックを削減することができる技術。
※2:ソフトテンソルプロセッサ技術
FPGA上にプログラム可能なハードウェア技術であり、ディープラーニングに用いられるテンソル演算を低消費電力で実行することができる技術。
※3:高効率モデリング技術
大規模なニューラルネットワークを構成するパラメーター数やメモリ使用量を、精度を維持しながら削減する技術。
※4:広範囲大規模認識技術
広範囲を撮影した4K/8K相当の画素数のデータ等から、微細な対象を認識する技術。
※5:GPU
GPU(Graphics Processing Unit)は、画像処理を専門とする演算装置(ICチップ)であり、主演算装置(CPU)の制御の下で補助として用いられる。近年は、汎用の大規模並列演算装置としても用いられ、ディープラーニング技術では主流の実行環境となっている。
※6:FPGA
FPGA(Field-Programmable Gate Array)は、基板などへの実装後に回路構成をプログラムで容易に変更できる集積回路の一種。ハードウェアの高速性とソフトウェアの柔軟性を兼ね備えており、小ロット向け半導体やその試作のほか、近年ではデータセンターやクラウドにおける高速なデータ処理用プロセッサとしても活用されている。
※7:畳込層
CNN(Convolutional Neural Network)とも呼ばれる畳込演算を有するニューラルネットワークの一種。重み係数の集まりであるフィルターと、フィルターとの畳込演算の結果を保持するチャネルで構成される。
※8:Near-data Processing
演算能力をデータの近くに配置することで、データの移動量を減らし、データ転送に要するコストを抑えながら効率的な計算を行うことができる計算技術。

【関連リンク】
会津大学(University of Aizu)
綜合警備保障(ALSOK)
ジャパンマリンユナイテッド(JMU)

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