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シリコンバレー発、イベントドリブンを実現する「VANTIQ」 ーInterop Tokyo 2019レポート

Interop Tokyo2019に、シリコンバレーのスタートアップ企業であり、2017年に日本に参入しているVANTIQが出展をしていた。VANTIQは、リアリタイム、イベントドリブン、拡張性、分散処理、マン・マシン・コラボレーションが可能なアプリケーション開発・運用プラットフォームを提供している。

中でも、IoTでは、センシングしたデータに対してエコシステム全体が反応することが重要となるので、イベントドリブンという機能が重要となる。これまでも、プログラムレスであったり、拡張性や分散処理ができる開発プラットフォームはあったが、イベントドリブンというと、他のプラットフォームでも実現可能な技術ではあるが、デバイスやスマートフォンなど様々な環境での開発がワンプラットフォームで可能となるといったところが、IoT向けのソリューション開発にはむいているといえる。

今回の展示ブースでは、10社の企業や学校、団体が、VANTIQのプラットフォームを使った展示を行っていた。

キヤノンITソリューションズ「駐車場管理システム」

キヤノンITソリューションズの映像ソリューションとVANTIQのイベントドリブンを組み合わせた駐車場の管理システムのデモを展示していた。

カメラで駐車場の空き情報を監視し、駐車場の空き台数をリアルタイムで把握することができる。そして位置情報も把握しているため、スマホを持ったドライバーが近くの駐車場の空き情報の通知を受けることができる。

VANTIQ

また、同様に駐車場のカメラから異常行動や不審者を姿勢情報などから検知し、その際の適切な人・モノ・システムに即時アラートなどの連携を行うというデモの展示もしており、顧客のニーズに合わせた多様な使い方を提示していきたいとしていた。

NTTコミュニケーションズ「ドライブレコーダーの情報を活用」

NTTコミュニケーションズは、官民連携によるスマートワールドの実現を掲げ、その一例として、「モビリティ」と「まち」の情報を組み合わせたソリューションの展示をしていた。

具体例として、傾けたり倒れたりしても画像が一定になるようなドライブレコーダーを使用することで、車だけでなく、二輪バイクにもドライブレコーダーを設置する。

二輪バイク専用のドライブレコーダーで撮った映像

ドライブレコーダーで撮った画像から信号や標識などの自動解析を行う。そして走行スピードや位置情報などから違反を検知することができる。また、事故を直ちに検知するため、位置情報を把握し、設定していたルートを逸脱した場合通知するような設定を施している。

イベントドリブンでなければ画像の情報量が多いため、移動者がWifiがある環境まで戻ってきた時点でデータをあげなければならない。

しかしVANTEQを使えば異常事態のイベントだけをエッジから吸い上げ、リアルタイムで通知をすることができる。

このソリューションを取り入れる想定企業は、保険会社や郵便局、運送会社、飲食の宅配サービスなどだ。

将来的にはこのソリューションを様々なモビリティに取り入れ、まち全体における価値創造を想定しているという。

ミツイワ「エンジニアシェアリングソリューション」

ミツイワは、VANTIQのプラットフォームを使い、エンジニアの詳細な情報や位置情報をアプリ内にリアルタイムで表示し、派遣するというソリューションの展示を行っていた。

以前はPCが壊れた際電話で通知しオペレーターが対応しており、30分程度時間がかかっていた。

しかしVANTIQを使うことで通知はRPAで行い、その時点でのスケジュール、対応できるスキルを持っているかどうか、現在の所在地などを加味し、複数名の適切な人材に通知が行く。

そして通知が来たエンジニア達は対応できる時間を連絡し、最終的に最も適切な人材が選択される。選択されたエンジニアには対応の場所までの最短経路の指示がされ、作業が終わった際にエンジニアが日報を送ると業務が完了する。

現在はミツイワの社内事例であり、5部門60名程度での実験を行っているという。そして今後は社内での規模を拡大していくと同時に、このシステム自体を別の企業に展開していくことも検討しているとのことだ。

ブローダービズ「労働環境見守りシステム」

これはカメラを使いAI映像解析で分析した結果をVANTIQに集約し、異常があった際にアラートを上げるというシステムだ。

現在既に関東の食品工場に設置されており、作業員の姿勢判定を行い、異常行動や異常事態の際にアラートを行うというシステムだ。

工場内ではエッジデバイスを使い、映像を外に流出させず解析し、異常なデータだけを抽出するため個人情報が守られているという。

DAiKO「熱中症対策パッケージ」

現場の作業者がスマートウォッチをつけ、脈拍数、体温、歩数、バッテリー残量などのデータをとる。そしてそれらのデータと、温湿度センサーの温度、湿度の異常値を複合的に設定することで、作業者が熱中症になる前にアラート通知することができる。

この異常値というのは現場ごとに違ううえに、要因が1つではないため、データを収集しながら異常値の設定を書き換える必要がある。

しかし従来のやり方であればシステムを全て書き換えなければならないため、時間とコストがかかってしまうが、VANTIQを使えば簡単に書き換えることができる。

最小限のコーディングでアプリケーションを開発できる。

現在はDAiKO内で導入されることが決定しており、今後は他の企業にもパッケージで展開することを検討しているという。

このようにデモや自社導入の例が多かったが、ここからさらに発展させていきたいという企業が多かった。

VANTIQは、フィールドサービス、輸送、小売業、サプライチェーン、製造業、農業、医療、インフラ、金融など様々な分野にこのプラットフォームが活かせると考えている。

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