AIという言葉を聞く機会が増えるのに並行して「チャットボット」という言葉を聞く機会も増えてきた。
Googleトレンドにてここ2年のチャットボットの検索回数を見てみると最近になって落ち着いてきてはいるもののおおよそ上昇を続けている。
チャットボットは特に新しい言葉ではなく1960年代にはチャットボットシステムともいえる「ELIZA」が開発されており、インターネットよりも歴史が古い。今になって人工知能ブームに影響を受ける形でまたチャットボットという言葉が注目を集めている。
「AIというバズワードに惑わされるな」の中でも言われているようにAIに対する過度な期待感と同様のものがチャットボットに対しても持たれている。
現在世に出ているチャットボットの大半はこうきたらこう返すといった質問文と回答文の対照表を人間の手で作る必要がある。ここで何割かの人は「人工知能がいいかんじになんでも答えてくれるわけではないのか…」と脱落していくかもしれない。
チャットボットではこう来たらこう返すというルールを人の手もしくはシステム側で作るわけだが当然正しい回答やそもそも質問されたことに対して回答を持ち合わせていないという場合もある。そのためチャットボットの回答精度を向上させるためのルールの設定やシステムに登録する質問文を追加するといったいわゆるチューニングを行う必要が出てくる。
チャットボットサービスはたくさんあるが、それぞれが違ったデータの登録方法であったりチューニング方法が存在している、また導入を検討している企業が持っているQAの質や量、利用用途(BtoB、BtoC、BtoE)などによっても大きくチャットボット構築に必要な稼働は変わってくる。この導入にかかる稼働が不透明という点でチャットボットの導入に二の足を踏んでいる企業も多い。
そこでIoTNEWSでは様々なチャットボットサービスを実際に利用し、使い心地や特徴などを実際のチャットボット管理画面なども交えてレポートしていく。
今回はチャットボット調査の第一弾としてNTTドコモ社の「自然対話エンジンFAQチャットボット」の利用レポートを行う。
目次
・FAQチャットボットの概要
・利用料金
・FAQチャットボット管理画面
・対応しているUI
・実際にチャットボットを作ってみる
・チャットボットの応答を確かめる
・チャットボット応答精度向上のためのチューニング
・まとめ
FAQチャットボットの概要
FAQチャットボットはNTTドコモが2018年3月19日から提供を開始したサービスだ。NTTドコモは自然言語処理のシステムである自然対話エンジンというサービスの販売を行っており、今回のFAQチャットボットサービスはその自然対話エンジンをチャットボットシステム開発に特化した形で再構築したものである。
大きな特徴としては登録した質問文から自動でその質問のコアとなるキーワードを抽出し設定した回答と結びつける機能を持っている。この機能によって「て」、「に」、「を」、「は」などの助詞や語尾など多少の言い方が登録した質問文とは違っていてもキーワードさえあっていれば回答を出してくれる。
利用料金
料金は
初期費用:50万円
月額費用:20万円
となっている。コール数などでの従量課金はないが、チャットボットに登録できる回答のバリエーションが基本1000問までとなっており、制限の上限を+1000するごとに月額費用が+1万円される。
例えばチャットボットに1500問の回答を登録したいユーザーは回答上限を2000問にする申し込みをすることで基本料金20万円+1万円=21万円の月額料金を支払えばよい。
FAQチャットボット管理画面
FAQチャットボットの管理画面はシンプルなものとなっており、WEB上の管理画面にIDとパスワードを入力することで管理画面にアクセスすることができる。
ログイン後の画面にて「ボットを追加する」をクリックすることで新たなチャットボットを作成することができる。ボットという言葉は複数の意味を持つがここではチャットボットの頭脳となるQAを登録するための箱と考えれば良さそうだ。例えば、「経理」、「総務」、「営業」の各チャットボットを作成したい場合は計3ボット作成することになる。
そしてデータを登録したいボットのタブをクリックした後に「編集ツール」をクリックすることでボットの編集画面に遷移する。
対応しているUI
FAQチャットボットが公式に対応しているのはビジネスチャットの1つである「WowTalk」と「LINE」、Webに設置できるチャットウィンドウとなっている。
基本的にはユーザーの質問に対して回答を返す仕組みのみを提供しており、質問の入り口となるUI(ユーザーインターフェイス)はユーザー側で準備することになっているという。APIの仕様は契約企業に開示されるため企業独自のチャットなどへの組み込みも可能となっている。
次ページ:実際にチャットボットを作ってみる
実際にチャットボットを作ってみる
今回はQAの作成からシステムへの投入、LINEとチャットボットを連携して応答の確認、精度向上のためのチューニングまでを紹介する。
チャットボットの元となるQAリスト作成
どのようなチャットボットでもまず必要なのが質問文と回答文のリストである。FAQチャットボットはまずサービス契約時に提供されるエクセルのフォーマットにQとAを記入しマクロを利用してシステムに登録するためのファイルを作成することができる。
今回はIoTNEWSの運営母体であるアールジーンが行っている事業支援サービスのことについてのQAを作成した。
さらに意味はほとんど同じだが言い方が違う単語(価格、料金など)はチャットボットに教えてあげる必要がある。そこで『料金、価格、お金・・はどの表現でも「費用」と理解してね』という情報をこのように記述している。
FAQチャットボットのボット作成
今回作ったQAの投入先であるボットを作成する。名前は何でも構わないがここではQAの内容に合わせて「事業支援サービスチャットボット」と命名した。
編集画面から前段で作成したQAのファイルをシステムに投入を行う。投入と言っても難しいことはなく質問文のファイルと回答文のファイルをアップロードし、「コンパイル」というボタンを押すだけだ。今回は質問文が30問と少ないこともあり1分とかからずシステムへのアップロード、コンパイルが終わった。
コンパイルによってチャットボットが構築され「真理表」が表示される。この「真理表」は名前は厳めしいが質問文からどのようなキーワードをシステムが抽出してくれたのかを示している。
チャットボットはこの抽出したキーワードをもとに回答を探し、質問から回答を特定できない場合はこの真理表に従って足りないキーワードの聞き返しを行う。
チャットボットをLineと連携する
この画像の空欄に連携したいLineのアカウントの情報の入力を行いLine側でも設定をすることでLine上でチャットボットと対話ができるようになる。
Lineの設定画面とこの設定画面を1、2回行き来をする必要があるが、マニュアルの通りに作業を行いおおよそ5分程度の作業で連携が完了した
チャットボットの応答を確かめる
Lineを使って「事業支援サービス」とチャットボットに対して入力したところ「概要」についての質問ですかと聞き返された。前述の真理表に基づいてチャットボットは回答の探索をしており、質問者の入力分だけでは回答を特定するための情報が足りない場合はこのように自動で生成されたキーワードの聞き返しを行うようだ。
応答文の編集方法
「回答ありがとうございました」「回答が見つかりませんでした」といった回答以外の部分の言い回しなどは管理画面上に存在しているFAQTalk.aimlを編集することで変更することができる。
今回はテンプレートとして存在しているLine向けの応答分を利用することで「はい」「いいえ」などのボタン表示を行うことができた。
チャットボット応答精度向上のためのチューニング
一般的にチャットボットは初めから完璧なものを作ることはできないため順次改善をしていく必要がある。人間であっても質問の仕方よっては原因が特定できないことがあるようにチャットボットであっても質問の仕方や登録している質問の種類によって回答できる限界がどうしても存在する。
そこでチャットボットが答えられるべきだが想定できていなかった質問の仕方や問い合わせがあった場合はチャットボットのデータの改善(チューニング)を行う必要が出てくる。ここまで聞くとシステムに関する知識が必要なように思えるが今回のFAQチャットボットの場合は基本的にはエクセルの編集がチューニングの主な作業になってくる。
チューニングでやることは専門用語辞書のところでも話したようにユーザーがどのような言い回しで質問をしてくるかを先回りして記述したり、実際のチャットボットのやり取りを記録したログを見ながらどんな言い方で質問がされているかをログの分析を行ったりといった方法がある。
また、チャットボットの中には存在していない内容の質問をされてもチャットボットは答えることができるため予想外の質問がチャットボットにされていた場合は新たに質問文と回答の登録を行い対応をする必要がでてくる。
まとめ
特にプログラミングの知識なども必要なく、質問文からシステムが自動的にキーワードを抽出し回答文と紐づけてくれるため利用者はユーザーがしそうな質問と回答のペアを作ることに集中することができる。QAの組み合わせさえあればとりあえずチャットボットの構築を行うことができるため、すでにQAの組み合わせがあったりする企業の場合は比較的容易に導入をできるのではないかと感じた。
今回はNTTドコモ社の自然対話エンジンFAQチャットボットを利用し自社サービスのチャットボットを作成したが今後も様々なチャットボットサービスを利用し紹介していく。また随時お問い合わせフォームにて紹介してほしいチャットボットを自薦、他薦問わず募集している。
【関連リンク】
・自然対話エンジンFAQチャットボット
