新日本製薬株式会社は、顧客接点の中核であるコールセンター業務において、通話後の事務処理負荷と、蓄積される膨大な音声データの活用に課題を抱えていた。
オペレータは顧客との通話終了後、対応履歴や顧客の要望を手作業でシステムに入力する必要があり、この「アフターコールワーク」(以下、ACW)の時間が業務効率を圧迫していたからだ。
また、通話記録の中に含まれる「顧客の声(VoC)」は、商品開発や営業戦略にとって重要な資産であるにもかかわらず、非構造化データであるがゆえに即座に分析・活用することが困難であった。
こうした中、新日本製薬は、テックタッチ株式会社が提供するデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」の採用を発表した。
今回導入された「AI Central Voice」は、大量の音声データを用途に応じて分類・分析し、ビジネス強化の示唆や施策設計にカスタマイズして活用できる分析プラットフォームだ。
これにより、AIが通話内容を自動で要約・分類し、オペレータの手入力工数を削減することで、ACWの時間を短縮および、人件費の抑制と応対品質の向上を同時に実現する体制を構築する。
また、インサイドセールス部門において、AIが大量の通話データを高精度に構造化・分析することで、成約に至ったトークの成功要因や顧客属性ごとの傾向を可視化する。
これにより、属人的になりがちな営業スキルの底上げを図り、販促活動の最適化を目指す。
さらに、抽出されたVoCを商品開発やサービス改善部門へ迅速にフィードバックする仕組みを整えることで、顧客の潜在ニーズを捉えた新商品開発やサービス改善のサイクルを加速させる狙いだ。
新日本製薬の岩渕氏は、「将来的にはオペレータがハンズフリーで顧客との対話のみに集中できる環境を目指す」としており、今回のAI導入をカスタマーサクセスの進化と全社的なDX推進の重要な足掛かりと位置づけているとのことだ。

