地域金融機関において、従来の融資業務偏重からの脱却と、取引先企業の事業課題解決を支援するコンサルティング業務へのシフトは喫緊の課題となっている。
りそな銀行では、大手・中堅企業とスタートアップ企業をつなぐビジネス共創を積極的に推進してきたが、そのプロセスには構造的な課題が存在していた。
具体的には、顧客の真の課題把握や、技術革新の速いスタートアップ企業のサービス理解には高度な知見が求められるため、マッチング業務が特定の担当者のスキルに依存する「属人化」が起きていた。
また、情報収集から提案書作成までに膨大な時間を要し、迅速な価値提供を阻害する要因となっていた。
こうした中、りそな銀行は、株式会社テイラーワークスが提供する営業・コンサル支援AI「TAILOR WORKS」を本格導入した。
「TAILOR WORKS」は、AIを活用して顧客のリサーチから提案書の骨子作成までを自動化し、コンサルティング提案を支援するツールだ。
りそな銀行は、2025年1月から「TAILOR WORKS」を活用したPoCを実施。AIがオープンデータから企業の経営戦略や事業課題を自動で収集・分析し、最適な協業案を提示することで、1提案あたりの作業時間を99%削減することに成功した。
これにより、担当者は単純な情報収集作業から解放され、より本質的な対話や戦略立案に時間を割くことが可能となった。
PoC段階では、主に二次情報からデータを取得し、リサーチや提案業務に活用していたが、今回の本格導入では行内に蓄積された「一次情報」の活用も実施する計画だ。
りそな銀行が保有する企業との面談ログやヒアリングデータといった一次情報を「TAILOR WORKS」で解析し、顧客事業情報データベースに統合することで、りそな銀行独自の高度なデータベースを構築する。
今後りそな銀行は、利用部門を複数の専門部署へと拡大し、組織全体のコンサルティング能力を強化する方針だ。

