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日本郵船とLighthouse、海運業界向けに生成AI活用の文書業務支援プラットフォーム「N-DOX」を開発

日本郵船とLighthouse、海運業界向けに生成AI活用の文書業務支援プラットフォーム「N-DOX」を開発

海運業界、特に鉄鉱石や穀物などを輸送するドライバルク(ばら積み船)部門において、船主と傭船者間で交わされる「傭船契約書」の確認作業は、膨大な時間と労力を要する業務である。

契約更改に伴う内容の変更点(差異)の抽出や、厳密な契約条件の精査は、担当者の経験に依存する部分が大きく、市況変動により短時間での判断が求められる状況下では、人為的な見落としによるリスクが課題となっていた。

こうした中、日本郵船株式会社とLighthouse株式会社は、生成AIを活用した文書業務支援プラットフォーム「N-DOX(エヌドックス)」を共同開発したと発表した。

今回開発された「N-DOX」は、文書管理、差異分析、ルールチェックといった機能を横断的に提供するプラットフォームだ。以下の三つの柱で構成されており、将来的にあらゆる文書業務を支援することを目指し、拡張性を重視したプラットフォームとして設計されている。

一つ目が、「エージェント指向」で、AIエージェントが複数機能を横断して複雑な業務を実行する。二つ目が、業務内容に応じて最適なAIモデルや外部サービスを選択・切り替える「マルチモデル対応」で、三つ目が、現場のニーズに合わせて必要な機能を追加可能な「段階的な機能拡張」だ。

これらにより、AIエージェントが複数の機能を自律的に横断して業務を実行するとともに、業務の内容に応じて最適なAIモデルや外部サービスを柔軟に選択・切り替えることが可能だ。

「N-DOX」が目指すプラットフォーム構想とその特長

開発にあたっては、日本郵船のDX推進グループとドライバルク部門が連携し、現場のニーズを反映させたプロトタイプを約3カ月で構築した。その後、実際の業務を想定した検証を経て、実運用可能なレベルまで機能を高めている。

AIが契約書の一次確認(ダブルチェック)を担うことで、確認漏れを防ぐほか、契約リスクを低減させ、担当者が最終的な判断や交渉といったより付加価値の高い業務に集中することを支援する。

今後両社は、差異抽出や更新時の影響分析、用語統一チェックなどの機能を順次追加していくとしている。

また、2026年以降はドライバルク部門にとどまらず、広報や財務といったバックオフィス業務へも適用範囲を拡大し、全社的なAI活用の基盤として展開していく方針だ。

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