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三菱電機、ドライバーの脈拍と車両操作から飲酒状態を検知するAI技術を開発

三菱電機、ドライバーの脈拍と車両操作から飲酒状態を検知するAI技術を開発

飲酒運転による交通事故は依然として世界的な社会課題であり、米国運輸省道路交通安全局の調べによると、米国では年間1万人以上、EUでも2,000人以上が犠牲となっている。

これを受け、欧州の新車安全性評価プログラムや米国の法規制において、ドライバーモニタリングシステム(以下、DMS)による飲酒検知機能の搭載に向けた議論が加速している。

こうした中、三菱電機株式会社は、運転中のドライバーの映像から非接触で取得した生体情報と車両挙動データを組み合わせ、AIを用いて飲酒状態を高精度に推定する技術を開発したと発表した。

今回開発された技術は、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」を活用したもので、DMSのカメラ映像抽出した「脈拍数」と「目の動き」に加え、ハンドルやアクセル操作といった「車両制御情報」を組み合わせてAI解析する。

具体的には、近赤外カメラを用いて取得したドライバーの顔映像から、脈動に伴う血液流量変化による皮膚反射の微小輝度変動を抽出することで、非接触で脈拍数を計測する。

目の動きと車両制御情報に加え、脈拍数データを判定要素として追加したことで、飲酒による表情変化が分かりにくいケースでも、覚醒度低下を高精度に判別することができるようになった。

アルコール摂取時には脈拍数が変化する傾向があるため、表情や挙動に明らかな変化が現れにくい場合でも、生体情報を加味することで飲酒状態であるかを高い精度で判定することが可能となった。

これにより、エンジン始動後のいわゆる「飲みながらの運転」や、外見からは判断しづらい覚醒度低下のリスクも検知できると期待される。

飲酒状態検知技術の全体像

なお、オークランド大学との共同研究では、さまざまなスキンタイプ、年齢、性別、人種のデータを収集し、欧州や米国での使用を想定した検証を完了させたとのことだ。

今後三菱電機は、同技術を用いることで、ドライバーへの警告表示やシステムによる運転制御介入などを実現し、飲酒運転に起因する事故の削減を目指すとしている。

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