IBMは、自社の営業活動において「プッシュ型営業支援AIエージェント」を導入し、営業プロセスの変革を実践していると発表した。
これは、同社のAI活用プラットフォーム「IBM Consulting Advantage(ICA)」を基盤とした取り組みである。
このAIエージェントは、顧客企業の公開情報(中期経営計画、IR資料、プレスリリース、業界ニュースなど)を自動で収集・分析し、営業担当者がそのまま提案に使える「具体的な示唆」を提示するものだ。
また、公開情報の収集だけでなく、「生成AI変革のために重要な8つの観点」といったIBMが保有するナレッジと照らし合わせることで、「この企業はAI倫理への言及が不足している」「このテーマは競合他社より注力度が高い」といった分析を行う。
さらに、AIエージェントは対象企業単体の分析にとどまらず、競合企業の中期経営計画や業界動向との比較分析も可能だ。
業界全体あるいは特定の競合ではどのAI関連テーマが重視されているか、いつからその傾向が現れたのかなどを可視化する。
なお、IBM社内では、既に入社3〜4年目の若手社員を中心に活用が進んでいるとのことだ。
これにより、AIの専門知識が十分でなくとも、エージェントが提示する分析結果を基に仮説を構築でき、初回の商談から的確な提案を行えるようになったのだという。
これまで経験の蓄積が必要だった「仮説構築力」をAIが補完することで、若手の戦力化スピードを加速させる狙いだ。
実際に、AIエージェントが提示した観点から立てた仮説が、顧客の関心と合致し提案につながった事例も生まれているとのことだ。
さらに、ベテラン営業担当者にとっても、担当する多数の顧客企業の動向を網羅的に把握することは困難であったが、AIによる他社比較やトレンド分析を活用することで、対話の質を維持しながらカバー範囲を広げることが可能となった。
同取り組みの背景にあるのは、人がタスクを判断してツールを使うのではなく、AIエージェントが自律的にタスクを決定・実行し、人がそれを監督する「AIファースト」への転換である。
IBMでは現在、このシステムを製造・流通業チーム中心に展開しているが、今後は金融など他業界チームへ拡大する予定だ。
さらに機能面でも、現在の「案件発掘支援」に加え、提案書作成や契約交渉の支援など、営業プロセス全体をカバーする形への拡張を計画しているのだという。

