建設業界では、労働力不足や時間外労働の上限規制への対応による生産性の向上が急務となっている。
一方で、現場における朝礼や危険予知活動(KY)といった安全管理のコミュニケーションは事故防止のために省略できない重要なプロセスである。
しかし、これらの発言内容を手作業で記録・管理する従来の方法は、抜け漏れによる安全管理の質低下のリスクをはらんでいるだけでなく、現場担当者の多大な業務負荷となっており、情報の確実な記録と業務効率化の両立が課題となっていた。
こうした中、東急建設株式会社は、NTTソノリティ株式会社と共同で、建設現場の安全管理水準の向上および業務効率化を目的とした、音声AIを活用する実証実験を開始したと発表した。
同取り組みは、建設現場で日常的に交わされる「声」を起点に、情報整理や報告作業を自律的に行うシステムの実用性を検証するものだ。
NTTソノリティが提供する特許技術を搭載した専用マイクと音声AIソリューションを組み合わせることで、建設現場特有の高騒音環境下においても高精度な音声収録を可能にしている。
同実証では、朝礼、危険予知活動、職員打ち合わせ、および協力会社間の作業間連絡調整の4つの業務を対象とする。
これらの現場で収録された音声は自動でテキスト化され、生成AIが要約や安全指示の評価、業務レポートの作成までを一貫して処理する。
これにより、従来担当者が手作業で行っていた記録・整理・報告の各工程が大幅に効率化される。
さらに、これまで記録されずに失われていた現場の音声情報をデジタルデータとして蓄積することで、組織の新たな安全資産への変換を実現する。
加えて、AIが会話内容を評価・可視化することで参加者の安全意識の向上や行動変容を促すだけでなく、過去の事故事例をAIが提示する機能により、経験の浅い若手社員であっても具体的な安全指示を行えるようになり、属人化の解消にも寄与する。
東急建設は、同実証実験の成果を踏まえ、NTTソノリティの音声AIシステムを自社の建設現場へ順次導入していく予定だ。
今後は安全施工サイクルの全工程のデータ化や外部システムとの連携を進めるとともに、同取り組みを通じて得られた知見をゼネコン各社や製造工場、プラント、鉄道運輸関連など幅広い業界へ展開し、企業の現場DXと労働環境の抜本的な改善を強力に推進していく方針だ。

