日本電気株式会社(以下、NEC)は、個人の暗黙知をデータ化して、Web上の業務を自律的に実行するAIエージェント「NEC cotomi Agent(コトミ エージェント)」を、2026年8月よりMicrosoft Marketplaceにて販売開始すると発表した。
同サービスは、ベテラン社員の実際のPC操作履歴から、作業手順を自動的に学習するNEC独自のAIエージェント技術を搭載したものであり、メールやPDFなどの非定型データの読み取りから複数システムへの入力、完了通知といった一連のWebワークフローを、ブラウザ拡張機能を通じて一気通貫で自動実行する。
従来のシステム開発や自動化ツールでは、画面のレイアウト変更や社内システムの仕様変更があるたびに、複雑なプログラムの書き換えやルール設計が必要であるケースが多く、これが保守コストを押し上げる大きな要因となっていた。
そこで「NEC cotomi Agent」は、ユーザがWebブラウザ上で行う実際の操作手順やログデータをAIが自動的に抽出・構造化して学習する仕様になっている。そのため、専門的なプログラミングスキルや事前設計は一切不要だ。
現場のベテラン社員が実際のPC画面で一度操作を実演して見せることで、AIがその手順を正確に再現する自動化ワークフローを自律的に構築する。
そして、Webブラウザの拡張機能として容易にセットアップ可能であり、業務プロセスや画面仕様が変更された際にも、現場担当者が自然言語での指示を通じて調整できる機動性を備えている。
技術的な優位性としては、単一のクローズドなシステム内での処理に留まらず、Web上の複数のアプリケーションやデータベースを横断した一気通貫の業務処理が実用レベルで実行できる点が挙げられている。
同システムは、届いたメールのテキストや添付されたPDFといった、データの形が統一されていない「非定型データ」を高度に読み取って内容を解釈する。
その上で、経費精算システムや受発注管理システムといった異なる社内Webシステムへのデータ入力をシームレスに代行し、処理が完了した後はチャットツールなどを用いて関係者へ自動で報告するといったワークフローの完全自動化を実現している。
具体的には、経費精算や受発注業務、取引先審査や市場調査レポート作成など、多様なWebページやデータベースを横断した調査・審査業務での活用が想定されている。
なお、この基盤となっているのが、同社が開発したAIエージェント技術「cotomi Act(コトミ アクト)」である。
同技術は、Web自動操作エージェントの国際的なベンチマークである「WebArena」において、人間の平均的なタスク成功率である78.2%を超える80.4%の成功率を達成している、実務利用に耐えうる高い正確性と処理の信頼性を客観的に証明している。
「NEC cotomi Agent」の価格は、1ユーザあたり月額15,000円(税別、別途専用テナント利用費が必要)で提供され、Microsoft Marketplaceを通じてオンラインで調達・導入することが可能だ。
NECは、今回のMicrosoft Marketplaceでの販売開始を皮切りに、従来のシステムインテグレーション(SI)主体の提供モデルに加え、マーケットプレイスを通じた柔軟なSaaS型販売モデルへと販路を拡大し、AIアプリケーションのラインアップをさらに拡充していく方針だ。
まずは日本市場での実績を積み重ね、将来的にはグローバル市場への展開も見据えているとのことだ。

