ラスベガスで明日から開催されるCES2019を前に、いくつかの企業がプレス向けのカンファレンスを開催している。今年のCESレポートの第一弾は、その中でもトヨタが実現する自動運転の世界について伝える。
自動運転の技術が注目されるようになって数年がたった。昨年のCESでトヨタが発表した、ePaletteというコンセプトが話題になったのも記憶に新しい。
自動運転というと、随分前から公道での実証実験も進んでいて、世界各地で実現可能となった話題であふれているため、一般の人からすると、なにが問題なの?と思うこともある。
自動運転技術といっても、単に道を走り、信号を見て曲がる、危ない時に止まるといった基本的な動作はできているのだが、例えば、車と車の間の死角からの飛び出しや、意図しない幅寄せのような他の車の危険運転を回避することは難しい。
実際、実証実験においても、死角からの飛び出しが回避しきれないために発生する事故や、前の車の事故回避のために急ブレーキを踏んだため、後続の車が衝突するといった事故も起きているという。
つまり、自動運転といっても、実際の公道で走る上での様々な困難な課題をクリアしないかぎり、一般のサービスとして我々の生活に組み込むことは容易ではないのだ。
プラット Toyota Research Institute CEOは、発表において、人間の能力に頼らない完全自動運転を志向する「ショーファー」という考え方と、人間の能力を増大するという考え方の「ガーディアン」という考え方があると説明した。
ガーディアンという考え方は、人間の運転を前提とする一方で、危険な場合などに人間と協調してクルマを動作するというものだ。
現在でも、オートクルーズ機能などで、こういった考え方はあるが、ガーディアンではもう一歩進んでいて、どれくらい完全自動運転に寄せていくかということも考慮されているというところが興味深い。
この技術は戦闘機の操作をイメージしてもらうとわかりやすい。
高速で飛ぶ戦闘機は、自動的に機体を制御し、様々な物体を回避しながら動作するわけだが、敵の飛行機を撃ち落とすようなヒトの判断が必要な局面についてはヒトが戦闘機と協働して制御しているという。
自動運転車が公道を走るには、実は戦闘機の制御以上の複雑さを解決する必要があるのだ。
行動には別の車両があり、障害物があり、意図しない第三者の行動、といった様々な要素があるからだ。
こういった様々な局面に対応するAIを学習によって鍛えていくことで、イレギュラーな局面でも対応可能となる「ガーディアン」が出来上がる。
最後に、プラット氏は、「自動運転のもっとも重要なメリットは、クルマの操作を自動化するということではなく、ヒトの安全と、自由なモビリティを支えるということだ。」と述べた。
■CES2019レポート
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。