包括的なデジタルツイン
包括的なデジタルツインを実現することで何が得られるのか。
それについてジョーンズ氏は「バーチャルな形でも自動化のためのコミッショニング(建築物やその設備において企画から設計、施工、運用までの各段階において、中立的な立場から助言や確認を行い、設備の適正な運転・保守が可能な状態であることを検証すること)を行い、製品の導入・変更などに活用できる」と述べる。
デジタルツインの実現のために、シーメンスはIoTに対して多くの投資を行っているという。それはデータのモニタリングだけでなく、パフォーマンスに関わる情報を利活用し、デジタルツインへ反映させることに力を入れるためだ、とジョーンズ氏は投資目的を説明した。
ニーズの変化に対応する柔軟性
開発における適応性を確保する背景について、ジョーンズ氏は「ひとりのユーザーに対して1つのエクスペリエンスしか提供できない、という時代は終わった」とし、最終顧客に対するパーソナライゼーション(個人向けにカスタマイズすること)を企業が実現する必要性を述べた。
そのパーソナライゼーションを実現するために、シーメンスでは3つの領域について投資を行っているという。
1つはクラウド開発への投資。これを通して各ドメインにおける専門性を活かした固有のサービスを顧客に提供すると、ジョーンズ氏は説明する。
2つ目はMendix社への投資。ラビットアプリケーションデベロップメント(少人数のチームでプロトタイプを繰り返し製作し、評価・改良することで次第に完成度を高めていくソフトウェア開発手法のこと)を得意とするMendix社のソリューションを活用することで、素早いアプリケーション開発を行うという。
3つめは産業用IoTに対する投資。これはプロダクトから得たパフォーマンス情報をいち早くデジタルツインに反映させ、素早くパーソナライゼーションに対応することを意図したものだという。
上記3つの領域に関する説明に加え、ジョーンズ氏はパーソナライゼーションにおける同社の「your way,your pace」戦略についても述べた。
これはビジネスモデルにおいて永久ライセンスか、サブスクリプションかを選択できるなど、顧客側が望むモデルでテクノロジーを導入し利用できる状態にすることを指す。
次ページは、「オープン化されたエコシステム」
無料メルマガ会員に登録しませんか?
1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。