大規模な造成工事などの建設現場では、多数の重機が同時に稼働しており、生産性向上のためには最適な機械配置と稼働率の管理が不可欠である。
しかし、広大な現場で各重機が「いつ」「どのような作業」を行っているかを人手で記録・分類することは、膨大な労力を要するため事実上不可能であり、経験則に頼った運用にならざるを得ないという課題があった。
こうした中、鹿島建設株式会社(以下、鹿島)と株式会社pluszeroは、重機に搭載されたドライブレコーダの映像を解析し、作業内容を自動で分類・定量化するAIモデルを構築したと発表した。
同ソリューションの特徴は、専用のセンサなどを追加設置することなく、多くの重機に標準装備されているドライブレコーダの映像データを活用できる点にある。
開発されたAIモデルは、バックホウ(油圧ショベル)の映像から、作業内容を「掘削」「積込」「敷均し」「転圧」「法面整形」「移動」「待機」「その他」の8カテゴリに自動分類する。
現場管理者は、動画データをAIに取り込むことで、各重機の稼働状況を定量的なデータとして可視化できるようになる。
開発にあたっては、熟練技術者の知見をアルゴリズムに組み込み、分類ミスが起きやすいパターンの補正や、現実にはあり得ない作業遷移(状態遷移)を排除することで、認識精度を高めている。
実際の現場で行われた実証では、最大20台のバックホウが稼働する環境下で同モデルの有効性が確認された。
特に、現場の生産性を下げる要因となり、改善の余地が大きい「待機」状態については、97.1%という極めて高い精度で分類することに成功した。
また、「敷均し」「転圧」「掘削」といった主要作業においても約80%の精度を達成している。
これにより、現場社員は「どの重機が、どの工程で無駄な待ち時間を発生させているか」をデータに基づいて把握できるようになった。結果として、重機の必要台数の算出や配置計画の最適化が可能となり、現場全体の生産性向上に寄与しているとのことだ。
鹿島とpluszeroは今後、多様な現場環境での運用を通じて機械学習用の教師データを蓄積し、他の造成工事現場へも同モデルの導入を拡大する方針だ。

