国際的なマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の規制強化が進み、2028年にはFATF(金融活動作業部会)の第5次相互審査が予定されるなど、金融機関を取り巻く環境は大きく変化している。
取引チャネルの多様化や不正手口の高度化に伴ってシステムによる検知アラートが増加しており、膨大なアラートに対する調査業務の負荷軽減と、検知精度の向上の両立が経営上の大きな課題となっていた。
こうした中、株式会社りそなホールディングスは2026年7月7日、SAS Institute Japan株式会社のソリューションを活用し、データとAIを用いたリスクベース・アプローチのさらなる高度化と業務の省力化に向けた取り組みを継続的に推進していると発表した。
今回の取り組みでは、ネットワーク分析を用いた精度の高いリスク検知と、自律型AIを用いた調査プロセスの自動化により、現行の検知精度を維持しながら膨大な調査工数を効率化し、より実効性の高い金融犯罪対策を実現する。
具体的には、2024年3月に本番運用を開始したアラートのAIスコアリングを基盤として、口座や顧客、取引の関係性から「ネットワーク特徴量」を算出する検証を実施し、2026年3月に完了した。
その結果、従来のアプローチでは見逃されがちな新たな厳格な顧客管理(EDD)の対象候補を効果的に抽出できることや、ネットワーク特徴量を既存のAIモデルに組み込むことで疑わしい取引の判別に有効であることが確認された。
これにより、検知精度を保ちつつ調査工数の効率化につながる見込みが立ったため、実業務への活用を進めていくとのことだ。
さらに同社は次の段階として、これまで人が担ってきた取引モニタリングの調査業務に対し、AIが自律的に情報収集や判断を行う「調査用Agentic AI」の適用に向けた取り組みを2026年中に開始するとしている。
単なる定型業務の自動化にとどまらず、AIが自律的に複数のステップを進行させて調査の初期プロセスを完全自動化し、後続の最終的な品質チェックや説明可能性の担保を人が行う「AI+人」の最適プロセスを構築する方針だ。
今後りそなホールディングスは、中長期的な計画に沿ってAIモデルやネットワーク分析といった新技術の概念実証(PoC)を重ね、段階的に実業務へ組み込むアプローチでAML/CFT業務の質的高度化を推進していく計画だ。
なお、対象となるのは、同社傘下のりそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行の4行である。

