除雪車は、吹雪による視界不良などの悪条件の高速道路でも安全に利用できるように、複数車両が連ねて走る「梯団(ていだん)走行」により作業が行われている。
梯団走行の除雪作業では、除雪車の先頭車両と後続車両が一定車間距離を保ちつつ、前面に装着した排雪板を少し重ねて走行する必要があるため、除雪車1台につき熟練した運転技術を有する者と、除雪操作装置や周囲確認等を行う者の計2名が乗車している。
一方で、高齢化や労働人口減少により除雪車の運転技術者の担い手不足が顕在化している。
こうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)は、中日本高速道路株式会社(以下、NEXCO中日本)と共同で、除雪車の梯団走行について、自動運転化に向けた技術開発に着手した。
今回の技術開発では、高速道路で大型車両の自動運転技術を開発し、実証実験が実施されてきた経済産業省と国土交通省による「高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術(隊列走行技術)」を基に開発を進める。
全車両が高精度な衛星測位により、自車位置を正確に把握するとともに、道路線形データにより、車両毎に異なる走行軌跡を自立走行することを可能とするものだ
また、「車間距離の保持技術」により、後続車両が、先行車両と異なる軌跡を適切な車間距離を保ちながらの走行を実現する。
これまで隊列走行では、LiDARにより先行車両との距離を計測し、車間距離を計測しながら追従技術との組み合わせで車間距離制御を行っていた。
しかし、除雪時には、LiDARは雪の反射により、正確な距離計測が困難になると想定される。
そこで、各車両の位置、速度を車車間通信のデータを用いることにより、車両相互の位置関係を把握し、適切な車間距離を保ちながら梯団走行を可能とする。
除雪車は、除雪作業開始前に隊列走行状態から梯団走行状態に展開し、梯団走行による除雪作業を行い、除雪作業終了後に梯団走行状態から隊列走行状態に収束する。
現在は、この隊列から梯団し、また隊列に戻る走行形態における先頭車両のハンドル操舵と、2番目・3番目車両のハンドル操舵・速度制御について、人の手を介さずプログラム制御する試験走行を開始している。
両社は2024年度内を目標に、自立走行技術や車間距離の保持技術の完成を目指して、試験走行や検証などを実施するとしている。
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