ラインシミュレーションで活躍するソフトウェア
ラインシュミレーションで活躍するソフト上は、上図のようなものがある。ここで、それぞれがどういう役割を果たすのか見ていく。
プロジェクト管理
プロジェクト管理ソフトウェアは、今後弊社でも注力していこうとしている分野です。例えば100人社員がいたとしても、配線作業に関してある難易度の仕事ができる人間は限られてきます。能力によって対応期間も変わってきます。そういった現場でのプロジェクト管理です。
例えば何かの資材が納品されないだけでも、納期はズレが生じてしまったりする。ですから、こういったアクティブなプロジェクト管理を回しておかないと、納期は遅れる一方です。
ある企業では、月の生産能力をフル稼働させれば2億円の売り上げになるほどのサイズだとすると、年間24億円の売り上げになるほど作れるはずです。しかし、実際作っているのは11億円だったりします。暇そうにしているのかというとそういうことではなく、今月来月の受注残を足した、余剰生産能力がわからず、営業がいくら受注できるのかを知るすべがないのです。
その結果、かなり余裕を持って受注をしまうことになる。その結果、製品は単純計算して倍の値段で売っている状況になるのです。
そこで、このプロジェクト管理システムを導入すれば、もっと先の予定も組めるし、途中で何かが入れ替わっても、組み替えをしながら製造できるのです。
小泉: 作るものがある程度分かっているのに、どのタイミングでどう段取り変えするか、ここでこの生産機械がいるという話がギリギリになって始まり、段取り良く進んでないという現実もあるのですね。
工程設計
天野:工程設計においては、AGVで搬送するのか、一貫ラインで組むのか、ということをまず決めます。そして、ラインに何の加工機、製造機をどこに置くのかということを決めます。
設備設計
設備システムは、CADシステムで装置の設計のことです。
ロボットシュミレーター
ロボットが動いた時、ぶつかるか、ぶつからないかを、シュミレーションするものです。
生産シュミレーション
通称プラントシュミレーションとも言っていて、各装置や人のパラメーターを細かく入れて、アルゴリズムで計算させることで、生産性を見ることができます。
パラメーターが細かく入れば入るほどほど、実ラインとの齟齬が減っていきます。
しかし限界があり、例えば、ある産業機械の停止時間が10%となっていたとします。これは、一時間に6分間止まったのか、10時間かけて間隔をあけて複数回1、2分止まったのかによって状況は全く異なります。この装置が20台、30台並んでくると、現実は動いたり止まったりしているので、そこに本当はIoTで状況を細かくとることで、その答えとなります。
これまでは、人が日報をつけていた結果をエクセルなどで集計して、この機械は9割でこの機械は8割動いている、といったことを入れていきます。そうすると実際にはラインとのズレが出てきます。
そこで、ずれた数値は直接センサーから取得するデータを入れて、シミュレーションにフィードバックしてあげるとほぼズレがなくなります。
ですから、本当は「IoTありき」ではなく、本当はずれているところにIoTで取得したデータを入れてあげるのが1番だと考えています。
八子: 本来設計された生産能力に対して、ずれがあるところを重点的に状況把握するためにIoTを使うということですね。
天野: はい。それがまさにこのソフトウェアです。例えば、設備2がボトルネックになっていることがわかったとします。
次ページは、「シミュレーションを行うことで、設備増強が不要となるケーススタディ」
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。