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ローランド・ベルガーが構想を超え、新しいモビリティの形を提案する ー小型EVミニマムモビリティ「バトラーカー」記者発表会

2019年10月16日ローランド・ベルガーは、小型EVミニマムモビリティ「バトラーカー」の記者発表会を行なった。

これはローランドベルガーと「和ノベーションチーム」10社(コアコンセプト・テクノロジー、GK京都、新明工業、浜の製作所、原田車両設計、二葉工業、ベッコフオートメーション、マリスcreative design、MIRAI-LABO、ラック)共同で開発したミニカーサイズの2人から3人乗りの電気自動車で、遠隔操縦もできるというものだ。

移動するモノや人が増えることで、経済が活性化するという仮説をたて、ローランドベルガー内の社内ベンチャー「みんなでうごこう!」を発足し、そこに和ノベーションチームが加わり、着想から製品化するまでにわずか4ヶ月で開発をしたという。

そのスピードを実現するために、「今ある技術の組み合わせで作る」というコンセプトのもと製品化を進めてきたのだという。

デザイン、車体、設計、セキュリティ、発電・充電、遠隔操作技術と、様々な技術をそれぞれ得意な企業が請け負うことで、短期間で新たなイノベーションの提案をしている。

ローランド・ベルガーが構想を超え、新しいモビリティの形を提案する ー小型EVミニマムモビリティ「バトラーカー」記者発表会
ローランド・ベルガー グローバル共同代表 日本法人代表取締役社長 長島 聡氏

ローランド・ベルガー グローバル共同代表 日本法人代表取締役社長 長島聡氏は、「和ノベーションチームと互いに刺激しあいながら視野を広げて新しい価値を作っています。今回の発表はその集大成のようなものです。モビリティで経済を活性化するという想いから今回のバトラーカーを形にしたことで、「やってみよう」という思いの起爆剤になることで日本の企業を元気にするきっかけになればと思っています。」と、バトラーカーに込めた想いを語った。

「移動したい」という気持ちを掻き立てるモビリティ

主なコンセプトは、バトラー(執事)カーがガイドやサービスマンのようにゲストをもてなしながらホテルや式場、神社仏閣などを送迎・案内する移動空間として開発された。

そのためデザインにもこだわっており、車としてではなく、移動空間として家具やインテリアのようなデザインになっている。

シートはソファのような作りになっている。

速度も10キロと低速でサイズも小さいため、小道や坂道など、ちょっとした移動にまでモビリティを行き届かせることにより、「動きたくなる状況」を創出することを目的としている。

そして目的地に着いたあとは遠隔操作で回収、または次の乗客を乗せることが可能だ。

そしてこのバトラーカーの機能を活かし発展させることにより、地域内物流や高齢者や子供の見守り機能、災害時の移動手段としても活用していくことができるのだという。

ミニマルモビリティというプラットフォームを様々な用途に展開していく。

バトラーカーの現状と今後の展開

今回はプロトタイプの発表であったため、遠隔操縦はラジコンプロポでアクセルブレーキステアリングしているが、今後はLTEを使いステアリングしていくという。

遠隔操作する際の映像は後方につけられた180度カメラで撮った前方の映像と、サイドミラーに移った後方の映像を飛ばし、VRゴーグルで見ながら操作している。180度カメラを設置している理由は、現段階では360度カメラにしてしまうと1秒以上の遅延が起こってしまい、安全面上取り付けられなかったからだという。

左:車両の後方に取り付けている180度カメラ。 右:その映像をVRゴーグルで見ながら操縦している。

つまり5Gなど低遅延な通信を使用できるようになれば、360度カメラを使うことが可能になる。

また現時点では2人乗りのミニカーというつくりではナンバーを取得することができず、法整備も含め申請中とのことだ。

そのため2019年度中に実施予定の実証実験は神社などの公道ではない私有地で行われ、現段階では事業展開していく施設もアミューズメント施設やホテルなどとの交渉を行っているという。

今後テクノロジーの発達や法整備がされていく中で、実証実験と社会実装を経てさらに改良がされていくであろうバトラーカーに注目していきたい。

このバトラーカーは2019年10月24日〜11月4日まで開催される「第46回東京モーターショー2019」にて展示、試乗デモが行われる。

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