IDC Japan株式会社は、国内データセンター(以下、DC)におけるAIサーバー向け電力キャパシティの推計値を発表した。これによると、2027年末時点におけるAIサーバー向け電力キャパシティは、2024年末時点の約1.5倍となることがわかった。
生成AIの利用に関心が高まりAIサーバーの導入が進んでいるが、DC内におけるAIサーバーがどのように配備されていくのかについては、まだ不確実なことが多い状況である。
IDCは、ユーザー企業によるAIサーバー導入について一定のシナリオを設定することにより、国内DCにどのくらいのAIサーバー環境が配備されるのかを、DCの電力キャパシティで推計した。それによれば、ユーザー企業が、毎年最新モデルのAIサーバーを購入するという「積極投資」のシナリオのもとでは、2024年末から2027年末にかけて、AIサーバー向けのDC電力は約1.5倍になるとしている。さらに2027年末時点のAIサーバー向けDC電力は、ハイパースケールDCの2~3棟分に相当する規模になることも明らかとなった。
AIサーバーは1台あたりの消費電力と発熱量が大きいことから、従来のDC冷却システムでは対応が難しいと言われている。今回の推計において、積極投資シナリオのもとでは、2027年末時点の国内DCに配備されるAIサーバー環境はすべて超高密度環境(サーバーラックあたりの電力が20キロワットを超える環境)となり、液冷方式などの新たな冷却技術の導入が進む可能性が高まるものと見られる。
IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「実際のAIサーバー環境は、同一DC内の通常密度環境と混在して設置される可能性があり、DC運用が複雑化する可能性がある。キャパシティ計画などの効率化および確実性の強化が求められる」と分析している。
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