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ラトックシステム、酒造現場のIoT化を進める「もろみ日誌」実証実験を実施

ラトックシステム株式会社は、齊藤酒造株式会社、招徳酒造株式会社、ローム株式会社、立山科学工業株式会社の協力を得て、「酒造品温モニタリングシステム」の実証実験を実施している。

日本酒造りの中で特に重要な要素は、麹・酒母・もろみの三大工程。日本酒の味わいは、これらの工程における伝統工芸を支える杜氏の熟練の技と、品温管理によって決まると言っても過言ではない。しかし、品温を24時間監視することは容易ではない。また近年、日本酒造りにもIoTを取り入れ、杜氏制度から社員による日本酒造りへの移行を検討している酒蔵メーカーも増えつつあるという。酒造品温モニタリングシステム「もろみ日誌」は、日本酒造りとIoTソリューションの融合によりこれらの課題を解決、伝統工芸の発展に貢献するとしている。

もろみ日誌はWindows PCで動作するアプリケーションとAWSクラウド・スマホアプリで構成される。

Sub-GHz通信を使い一定時間毎にセンサーから送信される品温を自動計測しグラフ化する機能、品温が警報設定範囲を超えたときに登録されたスマートフォンへアラーム通知する機能、スマホで撮影した状ぼう(もろみの泡の状態)写真をクラウド経由でWindows PCにアップロードする機能を備える。また、日々分析をおこなったボーメ度・アルコール度も手動入力でき、BMD曲線・A-B直線の解析により日本酒造りのデータを見える化し、熟練の技を次の世代へ継承するための手助けをするという。

ラトックシステム、酒造現場のIoT化を進める「もろみ日誌」実証実験を実施

2017年2月より京都伏見の齊藤酒造と招徳酒造の協力を得て、同システムのテスト運用を開始し、現在も継続して運用をしている。実証実験で得たノウハウを元にハードウェア・アプリケーション機能の改良を重ねてきたという。

蔵内の複数タンクに、ローム製Sub-GHz通信(※1)モジュール搭載の品温センサーを設置。棟やフロアの異なる場所にあるパソコンとのSub-GHz通信により、品温を自動計測。品温センサーには、立山科学製の白金測温抵抗体(以下、Pt100)センサー(※2)が採用されている。無線通信における技術サポートはロームから、Pt100センサーの技術サポートは立山科学から協力を得た。

実証実験の概念図

各社の役割(順不同)は以下の通り。

品温モニタリングシステム「もろみ日誌」の発売は、販売総代理店ハートコンピューターとの協業を進め2017年5月18日を予定。今後の実証実験から得られた一連のプロセスデータからディープラーニングを応用したAI技術を使って、上槽(搾り)時期やアルコール出来高の予測等を計画しているという。

(※1)ロームのSub-GHz無線通信技術
近距離無線通信方式に対応する、無線通信LSI及び無線通信モジュールのラインアップを揃える。同システムでは、ローム製のWi-SUNモジュール(品番:BP35C0)とパソコン用Wi-SUN USBドングル(品番:BP35C2)を用いている。
(※2)立山科学のPt100センサー計測技術
サーミスタセンサー、Pt100センサー等幅広い工業用温度計測センサーのラインアップを揃える。同製品では高精度±0.3℃のPt100センサーを採用。

【関連リンク】
もろみ日誌
ラトックシステム(RATOC Systems)
齊藤酒造(Saito Sake Brewing)
招德酒造(Shoutoku)
ローム(ROHM)
立山科学工業(TATEYAMA KAGAKU INDUSTRY)
ハートコンピューター(Heart Computer)

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