外食産業において、世界的な水産物の需要増大や物流コストの上昇、漁業従事者の担い手不足により、安定した調達と価格維持が大きな課題となっている。
特にサバにおいては、国産の漁獲量が過去10年で半減し、輸入原料の価格も従来の3倍以上に高騰していることから、持続可能な新たな調達手段の確立が急務であった。
こうした中、くら寿司株式会社は、AIを活用したスマート養殖により、人工種苗から700g超の大型サイズに育てたサバを用いた「大型生さば」の提供を、2026年5月15日より一部店舗で開始したと発表した。
この取り組みは、同社の子会社で水産専門会社のKURAおさかなファームが愛媛県宇和島市の生産者へ養殖を委託し、AIによるスマート給餌機を導入して実施されたものだ。
具体的には、AIが魚に必要な餌の量とタイミングを的確に判断し、自動で給餌を行う。
通常、人工種苗から1年ほど養殖したサバは200~300g程度にとどまるが、給餌効率の最適化によって成育スピードが向上し、約1年で700gを超える希少な大型サイズへの育成に成功した。
これにより、餌のロスや漁船の燃料費といった生産にかかるコストの大幅な削減を実現している。
さらに、洋上に向かわずともスマートフォンなどを通じて遠隔で生簀の状況確認や給餌を行えるため、養殖現場における労働環境の改善と人手不足の解消にも直結しているとのことだ。
なお、くら寿司グループは、養殖用の稚魚や餌を生産者に提供した上で、育てられた魚を中長期契約で全量買い取る「委託養殖」モデルを展開している。
これにより、生産者側のビジネス上のリスク低減と収入の安定化を図るとともに、自社における高品質な商品の安定供給を両立させている。
同社は今後も、生産から販売まで一気通貫の体制を構築し、最新のICTやAI技術を活用した「スマート養殖」を推進することで、コスト管理の徹底と持続可能な水産業の実現、さらには地方創生への貢献を加速していく方針だ。

