オンラインショッピングにおいてAIエージェントが購買意思決定の主要なインターフェースとなりつつある中、小売企業は自社のブランドや顧客に最適化された独自のAI環境を構築できなければ、一般的な汎用AIに依存し、顧客との直接的なつながりを失うリスクが課題となっている。
こうした中、AWS(Amazon Web Services)は、小売企業が自社専用のAIショッピングアシスタントを構築できる新ソリューション「Agentic Shopping Assistant on AWS」を発表した。
同ソリューションは、Amazonが自社の「Alexa for Shopping」で培ったAI技術と知見を初めて外部向けにパッケージ化したシステム基盤だ。小売業者は、自社が保有する独自の製品データやブランドの世界観を反映させた対話型の購買体験を短期間で実装することができる。
同ソリューションの最大の特徴は、小売企業が長年蓄積してきた製品カタログや顧客の嗜好といった深い専門知識を、強力なAI基盤に組み込んで独自のアシスタントを構築できる点にある。
システムは「Amazon Bedrock」や「OpenSearch」といったAWSの各種サービスで構成されており、Amazonの実際の購買環境で検証されたアーキテクチャやスターターコードが提供される。
ゼロから開発すれば数年かかるAI体験の構築を、AWSの専門家による支援のもと約60日という短期間で本番環境へデプロイすることが可能だ。
AWSのデータによると、こうした自然な対話を通じたショッピングセッションは、従来のキーワード検索と比較して3.5倍のコンバージョン(購買率)を達成しており、高い投資対効果が実証されているとのことだ。
すでにファッションブランドのKate Spadeは、AnthropicのAIモデルを用いた同基盤を活用し、「Kate Spade AI Gift Concierge」をローンチしている。
ギフト購入時にプレッシャーを感じる顧客のインサイトに着目し、AIが用途や相手の好みについて自然な対話を行い、最適な商品を提案する仕組みを約2.5ヶ月のテスト期間を経て構築した。
Kate Spadeを展開するTapestry社のチーフインフォメーション&デジタルオフィサーであるYang Lu氏は、エージェント型AIがコマースにもたらす可能性に期待を寄せ、「AWSが基盤を提供し、我々の消費者が求めるカスタマイズを共に作り上げることができた」と述べている。
AWSは今後も、小売業者が自社の競争優位性を維持しながら、直接的な顧客関係を構築できる高度なAI環境の普及を推進していく方針だ。

