2019年8月29日、都内にてIoTNEWS生活環境創造室が主催するセミナー「ここでしか聞けない!生活環境を快適にするロボットビジネス最新事例」が開催された。今回のセミナーは電通ロボット推進センターとの共催で、ロボットサービス事業を行う2社の事例が紹介された。
ミラロボティクスの「ugo」
1社目の事例はミラロボティクスの提供するパートナーロボットサービス「ugo」。登壇したのはミラロボティクス・メカニカルデザインエンジニアの白川徹氏である。
「ugo」は主に家庭向けに提供されるロボットサービスだ。白川氏によれば「ugo」を開発した背景には「少子高齢化に向けた準備がある」という。老年人口が増加し生活支援サービスの需要が高まる一方で、生産年齢人口が減少しサービスの供給が追い付かないという事態が予測される。そこでロボットのテクノロジーによって生活を支えるようにする、というのが「ugo」のテーマだそうだ。
「ugo」はVRコントローラーによってアバターロボットを遠隔操作し、洋服をたたむ、食器を掴むといった普段の生活で起こる様々なアクションを行う。ハンドは手先作業用や箱把持用といった業務に特化したものに付け替えることができる。
他のロボットとの違いについては、「高精度・高価格な工業ロボットや協業ロボットと違い、それほど高いスペックはない代わりに低価格であらゆる場面に導入され、人を支えること」だと白川氏は述べた。
利用料については、家事代行サービスとして月額2万5千円のサブスクリプションモデルを予定している。また、「ugo」ではアバターロボットの上半部だけ提供する「アバターキット」というプランも構想中とのこと。これはフルスペックのアバターロボットを導入するよりも低価格でユーザーに提供できるようにする狙いがあるそうだ。
「ugo」はBtoC向けを想定したロボットサービスではあるが、家庭向け以外にもB2B向けの利用方法も考えられているという。セミナー内では物流倉庫におけるピッキング業務で「ugo」のサービスを利用する様子が紹介された。
ミラロボティクス・白川氏によれば、「ugo」は段階的なサービスの進化を考えているという。まずはVRによる遠隔操作からスタートし、サービス提供を進めるう内に動作のデータを蓄積し、将来的にはコマンドによるオートメーションで出来る部分を増やしていく、というのが「ugo」の構想だそうだ。
次ページは、「キュービットロボティクスの「おもてなしコントローラー」」
キュービットロボティクスの「おもてなしコントローラー」
2番目に登壇したのはキュービットロボティクス・代表取締役社長兼CEOの中野浩也氏である。キュービットは飲食業向けのロボットプラットフォームを提供している企業だ。
キュービットはロボット本体の開発は行わず、ロボット専用のキオスク筐体と、「おもてなしコントローラー」というソフトウェアを提供するサービスを行っている。
筐体は2.4m四方。パーツを組み立て、別途用意した接客用のロボットと調理器具を取り付けることで飲食におけるロボット接客サービスを展開することができるという。筐体には電源と下水道設備は組み込み済みとのこと。
一方、「おもてなしコントローラー」は3つの要素で構成されているソフトウェアであると中野氏は説明する。
1つは「Robot Restaurant OS」。これは様々な調理器具の構成や調理方法に対応できる専用制御ソフトウェアで、調理機器の変更や追加削減が生じた際に、知識のない飲食店の従業員でも簡単に操作できる設計になっているという。
2つ目は「Omotenashi Engine」。これはロボットにカメラを利用した顔認証をさせて、言葉や動作による接客サービスを行わせるためのソフトウェアだと中野氏は語る。
例えばスーツ姿の人物がカフェで注文をする際、その姿を見てロボットが「お仕事お疲れ様です。今日もスーツが似合っていますね」と声をかける、あるいは人が近づく興味を引くためにロボットがモーションを変えてみる、といったことが出来るようになるという。
これはあらかじめ複数の接客シナリオを用意し、近づいてきた人間をカメラ画像によって認証、属性を判断することによって反応を決定するということだ。
3つ目は「Store Manager」。これは店舗外部に存在する注文・決済・売り上げ管理システム、保守システムとの連携を行い、顧客・スタッフへの案内と運用を支援するためのソフトウェアとのこと。
このプラットフォームサービスについては2019年6月から販売を開始している。空港・テーマパーク・ショッピングモールといった大勢の消費者が集う空間への導入を想定していると中野氏は語った。
なお、セミナーの締めくくりには電通ロボット推進センター・ロボットプランナーの和泉興氏(トップ画像)が登壇し、同センターでの取り組みやロボットサービスの今後について語った。
和泉氏は「テレビやスマホなど、これまで生活の中でいちばん接するものが主流のメディアとなってきたが、生活に溶け込んだロボットが新たなメディアとなる可能性もある。そしてロボットの目指す方向は課題解決型ニーズから、さらに自分の能力を拡張したいという根源的なニーズへと将来的には変わってくるのではないか」と述べた。

