遠隔操作ロボットは、VRグラスを装着した操縦者がロボットから伝送される映像を見ながら操作を行う。映像伝送に伴うEnd-to-End遅延がおおよそ100ミリ秒を超えると視覚と操作のずれを大きく感じるため、低遅延化が実用化に向けての課題だ。
映像伝送のEnd-to-End遅延は、(1)ロボット側におけるカメラからの映像取得と映像圧縮、(2)ネットワーク遅延を含む映像データの伝送、(3)操縦者側における映像伸長と表示という大きく3つの要因に起因していて、映像伝送システム開発においては、撮影から表示までのすべてのプロセスにおける徹底的な処理の最適化が重要となっている。
株式会社KDDI総合研究所とTelexistence株式会社(以下、TX)は、TXが開発する遠隔操作ロボットを対象に、ロボットと操縦者間の映像伝送において、ロボット側のカメラから操縦者側のディスプレイに表示されるまでのEnd-to-End遅延を50ミリ秒にすることを実現した。
これにより視覚と身体感覚との操作のずれをほぼ感じることがなくなり、動きの速い対象物に対して正確な操作や身体的直感に即した操作が可能になる。また、映像伝送遅延が原因の一つとされる操縦者のVR酔いが軽減され長時間の遠隔操作が可能になるという。
同映像伝送は、KDDI総合研究所の汎用ハードウェアコーデックを用いた映像パラメータや処理フローの最適化技術と、TXのロボット用映像機器の実装・最適化技術により、実現している。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。