日立、24時間河川水位や洪水を予測するシステムを秋田県に納入

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株式会社日立製作所(以下、日立)は、秋田県から河川の水位や洪水を24時間連続リアルタイムで予測するシステムを受注し、同県において2025年春から運用が開始される予定であることを発表した。

このシステムは、河川や地形のデータに加え、最新の気象データを自動でリアルタイムに取り込み、分析することで、河川の水位と洪水を6時間先まで予測するものだ。太平川と、太平川が合流する旭川の3カ所の河川水位データと連携することで、予測精度の向上を図る。

予測した結果に対しては、樋門の開閉や排水機場の稼働をシミュレータ上で変更することで、被害軽減に向けた検討が可能だ。また、自治体で検討している治水対策と、過去の降雨量、堤防決壊といった水害の条件を併せて設定・シミュレーションすることで、治水対策の効果を検証する。

さらに、任意の降雨や堤防決壊の条件を設定して、外水氾濫と内水氾濫を同時に予測することが可能だ。また、太平川が合流する砥沢を含む旭川、および新城川、道川、草生津川を除く旧雄物川、もしくは太平川に合流する河川のバックウォーター現象(※)の影響もシミュレーションすることができる。

※バックウォーター現象:大きな河川の水位が上がることで、これに合流する小さな河川の水位が上がって発生する氾濫

加えて、同システムで河川データや地形データなどをデジタルで設定・管理していくことで、予測精度の向上とともにデータ管理の一元化が図れる。また、更新された河川データや地形データを新たに取り込み、これまで作成した浸水想定区域図と同じ条件を設定すると、過去の検討プロセスの把握や条件変更による影響範囲のシミュレーションが可能だ。

同システムの予測のリアルタイム実行には、日立の特許技術「Dynamic DDM」を適用しており、浸水領域の広がりに応じて計算領域を自動的に拡大・縮小させることで計算量を減らし、予測の高速化を実現している。

従来方式と「Dynamic DDM」を使った場合の計算方法の違い

秋田県は、同システムを導入することで、河川の水位を予測し、秋田市内の中心部を流れる洪水予報河川および太平川が氾濫する可能性を事前に把握し、洪水警報発表の精度を高めるとしている。

将来的には、都市に降った雨が河川などに排水できずに発生する内水氾濫や、河川から溢れて発生する外水氾濫一体の洪水シミュレーションの精度を向上し、洪水予測による避難行動の支援や、気候変動による豪雨災害の検証と対策に活用し、流域における治水対策をさらに推進していくことを検討するという。

なお、同システムは、企業向けに納入実績のある株式会社日立パワーソリューションズのリアルタイム洪水シミュレータ「DioVISTA/Flood」の技術を活用しているとのことだ。

日立は今後、山形県東根市との共同研究で開発した避難・緊急活動を支援するアプリケーションを、青森県ですでに運用されている「流域治水 浸水被害予測システム」と連係させ、流域自治体関係者が浸水予測と合わせて各種施設情報を共有できるようにするとしている。

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