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物流データをオープンデータ化し、社会的価値を生み出す -フレームワークス 秋葉氏、東京大学教授 坂村氏

坂村氏、秋葉氏

以前ニュース記事でも取り上げた、「物流オープンデータ活用コンテスト」。このコンテストは、ダイワハウスグループの株式会社フレームワークスが主催、東京大学教授の坂村健氏が審査委員長を務める。

ダイワハウスというと、住宅メーカーと思う人も多いかもしれないが、秋葉氏が経営する、フレームワークスは物流のコンサルティングからパッケージソフトウエアやクラウドサービスを提供するサービスプロバイダだ。
世界各国で600サイト以上の物流拠点での実績があり、製造業・流通業・物流業の実績におなじみの会社が並ぶ。

それらの多くの実績をもとに、作られたビジネスプロセス別テンプレートが活用できるのも魅力だ。

株式会社フレームワークス 秋葉淳一氏

今回、フレームワークス社は、機械工具商社大手のトラスコ中山株式会社の物流倉庫のデータを開放し、オープンデータとして活用するコンテストを実施するのだという。

オープンデータにすると何がよいのか?

東京大学の坂村教授によると、実際にロンドンの地下鉄において、走行データをオープンデータとして一般に開放したところ、一個人がこのデータを活用して街のどこにどの電車がいるかがわかるアプリケーションを開発したのだという。一方で、フィンランドの国有鉄道では同じことを自社で多額の開発費用を投じて開発したというのだ。

 

ロンドンの地下鉄でのオープンデータによる、アプリケーション開発の例

また、この成功をみて、ロンドンの公共交通網のアプリケーションはどんどん開発されることとなったというのだ。

 

ロンドンの交通網ではどんどんオープンデータが活用されている

国家レベルでも、オープンデータ化は進んでいて、すでに、イギリス、フランス、北欧各国では、すでに1~10万の行政データがオープン化されていて、米国でも45万件のデータをオープン化しているというのだ。
これらは、データをオープンにすることで、考えもしなかったイノベーションを起こそうという発想だ。

世界に普及するXプライズ方式

「Xプライズ方式」というのは聞きなれない言葉だが、要は、「入札」ではなく、コンテストで勝ったものに「賞金を与える」という方式だ。

これによって、競争心や栄誉が生まれ、入札方式より安価に調達することができるというのだ。

実際、米国で開かれたDARPAグランドチャレンジというコンテストで、それまで日本のほうが進んでいた自動車産業の分野で追いついてきたという実績もあるというのだ。

 

米国で開かれたDARPAチャレンジ

今回の物流・倉庫のオープンデータコンテスト

「今回の物流・倉庫のオープンデータコンテストは世界でも初めてではないか」(坂村氏)というほど、珍しい取り組みなのだが、現在の物流業界におけるIoTの取り入れ熱はすごいものがある。

一方で、まったく新しいイノベーティブな発想をこの業界に持ち込む手法として、オープンデータコンテストを開催するということは非常に興味深いといえる。

 

フレームワークス 物流オープンデータ活用コンテスト

コンテストでは、

と様々なデータが公開されるというのだ。ざっと見るだけでも、倉庫のデータから、トラックの走行記録、環境情報も掛け合わた企画ができるということで、面白いモノが作れそうだ。

「ビジネス部門」「研究部門」「一般・教育・ゲーム部門」とあって、業務を意識したソリューションからリアルゲームまで幅広く応募することができる。

賞金総額も500万円ということでかなりの高額なので、奮って応募してみたいものだ。

詳しくは、フレームワーク社の「物流オープンデータ活用コンテスト」のページを見てほしい。

 
【東京大学 坂村健教授】

東京大学 坂村健教授と、最近の著書、「IoTとは何か?」

東京大学大学院情報学環教授/工学博士
ユビキタス情報社会基盤研究センター長
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 所長

【株式会社フレームワークス 秋葉淳一氏】

フレームワークス 秋葉氏と、最近の著作「IoT時代のロジスティクス戦略」
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